主人公を覚醒させた頭文字Dのガムテープデスマッチ! 現実的にはやっても「メリットなし」の可能性大 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■漫画「頭文字D」で行われるガムテープデスマッチは名勝負として有名だ

■実際にやって上手く走れても得られるメリットは少ない

■怪我をする可能性があるので安全のためにもやらないほうがいいだろう

FFに有利なバトル方式として登場する「ガムテープデスマッチ」

 漫画に出てくるドライビングテクニック。荒唐無稽なものもあるけど、試してみたくなるものもなかにはある。

 そのひとつが「頭文字D」に出てくるガムテープデスマッチ。このガムテープデスマッチとは、ガムテープで片手をステアリングホイールに縛り付けたまま行うレースのこと。作品中では、ステアリングはきっかけだけに使って、基本はドリフトで進路を変更。カウンターも最小限しか使えない制約付きの競争になる。

 実際にできるかできないかでいえば、できないことはないだろうが、何かメリットがあるのかといわれると相当「?」だ。

 クルマを速く走らせるには、できるだけ舵角は少ないほうが望ましいのは確か。そういう意味で、ガムテープデスマッチのいわんとするところはわからなくもないが、使えるものは何でも使って結果を出すというのも、道具を使うスポーツのひとつの真理。

 スポーツドライビングでいえば、アンダーステアを忌み嫌うが、このアンダーステアの原因のひとつに「手アンダー」がある。「手アンダー」とは、一般的にタイヤの応答性(グリップ力)を超えるほど大きくハンドルを切って、そのためにアンダーステアが出る現象のこと。オーバースピードでコーナーに進入し、減速不足でクルマが曲がらないのに、自分の曲がりたい意思を優先し、もっとハンドルを切って、アンダーステアをさらに悪化させるケースがこれ。

 ただし、「手アンダー」には別のパターンもあって、それはもっとハンドルを切れば曲がるのに、自分で勝手に「これ以上ハンドルを切っても曲がらない」と思い込んで、舵角不足でアンダーステアを出しているケースも存在する。

 コーナー進入時、車速が落ちれば、そのぶんだけハンドルも切り足せるので、コーナーのボトムスピードで一番舵角が大きくなるよう調整していくこともとっても大事。

 ガムテープデスマッチでは、この必要な切り足しができなくなる可能性があるので、あまり積極的に賛同することはできない……。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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