今年もイケるか交換か? 数年経ったスタッドレスは「減り」に「ヒビ」に「溝の形」と色んなところをチェックして判断すべし!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■スタッドレスタイヤの雪道性能はスリップサインの露出までだ

■経年劣化はもちろん乗り方でも寿命が変わる

■使用しない間の保管方法にも気をつけると長年使うことができる

スタッドレスタイヤの寿命とは

「スタッドレスタイヤ、買ったはいいけど、ぶっちゃけどのくらいもつの?」そんな不安をもっている人も少なくないのではないでしょうか。

 そんなスタッドレスタイヤの使えるか、使えないかの判断材料は大きくわけて3つあります。

 ひとつ目は法令的な使用限度。

 タイヤは、スリップサインが出たら交換しなくてはいけないことは、多くの人が知っていると思います。そうです、タイヤは残り溝が1.6mmなると使用出来なくなります。これは道交法に規定されていて、反則金と違反点数があります。

 スタッドレスタイヤについては、50%の摩耗でスタッドレスタイヤとしての性能は終わりとなります。スタッドレスタイヤの使用限界を示す印は「プラットホーム」と呼ばれ、タイヤの側面にスリップサインのマークと別に印が付けられていて、それをトレッド(接地面)側になぞっていくと、タイヤの溝にプラットホームと呼ばれる50%摩耗を示す突起がつけられています。

 このタイヤの寿命に関しては、各都道府県の公安委員会が定める規則「道路交通法施行規則」、「道路交通規則」がかかわってきます。「地方自治体に取り締まる権限があるの?」と思う人もいるかもしれませんが、道交法の71条に運転者の遵守事項というのがあり、その1項第6号に「道路または交通の状況により公安委員会が道路における危険を防止しその他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」によって、都道府県の公安委員会が定めた規則も道交法違反の対象となります。

 厳密にいうと、摩耗量を規定していない公安委員会もあるのですが、県をまたぐと違反になることもあるので、50%摩耗を使用限界と考えるのが安全でいいと思います。

 ふたつ目は経年変化(劣化)です。タイヤは古くなると紫外線や、窒素酸化物、オゾンなどによってゴムが劣化していきます。また、再架橋(さいかきょう)といってタイヤのゴム分子(ポリマー)同士が結びついてタイヤが硬くなっていきます。

 架橋というのは、ゴムに必要な弾性を作り出すために硫黄を反応させる工程です。これによってポリマー同士が急速に結びつく「架橋」が起こるのですが、タイヤは経年劣化によってもゆっくりと架橋が進みます。これを再架橋といいます。ポリマー同士がさらに結びついて柔軟性が失われたゴムに変化してゆくのです。

 倉庫に適切に保管されていたタイヤだと、1年くらい保管されていてもほぼ劣化はないので、絶対的な判断基準ではないのですが、タイヤには製造週が刻印されていますので、これをひとつの目安にすることはできます。

 タイヤの側面に4桁の数字が書かれています、たとえば3524といった数字です。この数字の前2桁が製造週、後ろ2桁が製造年を表しています。つまり3524なら2024年の35周目に作られたタイヤということです。

 ちなみに、輸入タイヤなどでときどき見られるのですが、タイヤが白っぽい粉を吹いていることがあります。これはタイヤのなかに配合された劣化防止のためのワックス成分が染み出たもの。タイヤを放置したための汚れではありません。むしろこの成分はタイヤの被膜になって、タイヤを劣化から保護する役割を果たしています。

 もしタイヤショップで、タイヤ組付け前にタイヤをごしごし掃除しているのを見かけたら、「そんな汚いタイヤを組むな」などと怒らないように。むしろタイヤの性能を劣化させないように保管していたということです。


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