この記事をまとめると
■冠水した道路を走れるかどうかは水深10cmが目安となる
■冠水路を走行する場合は速度を落として水のなかの漂流物にも気をつける
■危険だと感じたら速やかにクルマから降りて避難すること
クルマが安全に走ることができる水深ってどれくらい?
近年、局地的な豪雨の発生回数が増えているというデータがあります。短時間に集中して雨が降ると、道路や都市の排水能力を超えてしまい、みるみるうちに冠水してしまいます。そんなときにクルマで出かけていたら、あなたはどうすればいいのでしょうか。どんなところを見て注意して、走行するか戻るか避難するかの判断をすればいいでしょうか。
まず判断すべきは、道路の水深がどの程度までなら安全に走行できるのか、その限度を知って目の前の道路が通行できるかどうかを判断することです。
ブリヂストンによれば、タイヤは1秒間に52.8リットルもの水をかき出すことができるといいます(ECOPIA NH100シリーズ/時速80km走行時、水深5mm、タイヤ幅120mmで計算)。じつに、2リッターのペットボトルで26本分に相当する量です。しかしそれは、排水できる場所があれば、という話。冠水して水深が深くなればなるほど、排水は厳しくなってしまいます。
また、水深がそれほど深くなくても、タイヤやボディが巻き上げた水しぶきがエンジンルームに勢いよく入り込めば、ウォーターハンマーなどの大きなダメージを与えてエンジン損傷の可能性もあります。
車高の高さやエンジン搭載位置、速度などによっても変わりますが、JAFが2010年に行った冠水路でのユーザーテストでは、水深30cmではセダンとSUVとも時速10km、時速30kmでも走行が可能でしたが、水深60cmではセダンは時速10kmでもエンジン停止、SUVは時速30kmでエンジン停止となる結果でした。
クルマは水深10cmまでなら安全に走行できるとされていますが、目安としては成人で裸足の接地面からくるぶしの上あたりまでが10cmです。なかなか運転席からの目視で10cmを測るのは難しいかもしれませんが、普段から自分なりに見分け方、目安となる測り方などを研究しておきましょう。ドアを開けて、棒などを地面におろしてみて10cmのところを覚えておくのもいいですね。
ただ、水深10cmでも走行する際に注意点がいくつかあります。ひとつは、速度をなるべく落とすこと。ブレーキが利きにくく、ハンドルも思うように切れなくなりますので、慎重な運転を心がけましょう。