ドライビングフィールも優秀!
●ハンドリング
国産スポーツカーの歴史を振り返っても、NAロードスター、とくにその前期モデルほどの「ニュートラルステア」をもっているクルマはほかにはない。
市販車であればスポーツカーでも弱アンダーステアにセッティングしてデリバリーされるのが普通だが、NAの初期型はほかのスポーツカーを基準にすると、「オーバーステアなのでは」と思うほど、攻め込んだセッティングになっていた。
重量バランス、ロールセンターの角度、ジオメトリ、アライメントのすべてが、その方向に仕上げてあったからだ。
オープンカーなのに、ボディ剛性がしっかりしていたのもロードスターの特筆できるところで、高剛性のサブフレームが前後に与えられていたし、パワープラントフレームも用意された。しかも四輪ダブルウイッシュボーンサスで、かなり締まった(高硬度)ブッシュが入っていたので、ダイレクト感は抜群。
よく曲がるくせに、直進安定性も優れていて、ロングドライブでも疲れない。
これはなかなか真似できないものだ。
●シフトフィールがよかった
NAロードスター、とくに初期型のMTは、ショートストロークでなおかつカチッとした剛性感があって、とってもシフトフィールがよかった。
シフトレバーの縦方向のストロークは45mm、横方向は25mmと国産車最小レベルで設計され、操作力が軽いのに、節度ある手ごたえになっている。
そのほか、ドアハンドルがスペシャルだったり、NAならではの魅力はたくさんあるけれど、NAロードスターは基本がしっかりしているので、年数が経っても魅力が陰らない。
ロードスターの開発主査だった貴島孝雄さんは、「クルマが劣化したらニュートラルに戻る」とコメントしているが、NAロードスターはデビューから30年経っても楽しいし、スポーツカーであり続けていることで、ホンモノだったことを証明し続けているといっていいだろう。