この記事をまとめると
■「フリート」とは法人が所有する複数の車両を示す
■フリート販売の顧客は大口なので販売会社の利益を左右するほど重要だ
■フリート販売先は一定のまとまった台数を買う傾向にあるのでOEMモデルの存在も重要だ
たまに見かける単語「フリート販売」ってなに?
「フリート(Fleet)」とは、集合とか艦隊を示す言葉だ。
クルマの分野では、法人が所有する複数の車両を示すことが多い。たとえばフリート営業部は、法人を相手にした主に大口の営業を行う部署になる。
販売店では「フリートのお客様は、荷物を積む商用車から営業で使う小型乗用車、さらに重役が後席に座る高級車まで、いろいろなクルマを購入される。フリートのお客様を獲得できるか否かは、販売会社の利益を左右する」という。
そして「重役が使うクルマのメーカーが他社に変わると、連鎖的に、商用車や営業車まで変わることも多い」という話も聞いた。たとえば重役が移動のために使うクルマが日産エルグランドからトヨタ・アルファードに変わると、荷物の運搬などに使っている日産キャラバンやADまで、トヨタ・ハイエースやプロボックスに変わる場合があるわけだ。
こういった事情があるから、エルグランドは発売されて14年以上を経過して売れ行きも下がっているが、いまでもラインアップを続けている。軽商用車にOEMが多く見られる理由も同様だ。
たとえばマツダは、以前は軽商用車を自社で開発して製造も行っていた。その後、マツダは商用車を含めて軽自動車の開発や製造から撤退したが、取り扱いを完全に終了すると、顧客が他社に逃げてしまう。マツダのユーザーがスズキのエブリイやキャリイを購入すると、営業車のマツダ2までスズキ・スイフトに乗り替えられたりする。そうなると困るから、マツダは今でもOEM軽商用車のスクラムバンやスクラムトラックを扱っている。
これらの軽自動車のOEM車は、1台当たりの利益は少額だ。しかしフリートのユーザーは、一定のまとまった台数を定期的に乗り替えるから、相応に安定した売り上げになる。台数が多ければ、点検、車検、保険を扱うことで得られる利益も増える。
とくにいまは、一般ユーザーに向けたクルマの売れ行きが下がっているから、フリート営業による安定した売れ行きが従来以上に大切になってきた。