この記事をまとめると
■GTカーの「GT」とは「グランツーリスモ/グランドツアラー」を意味する
■パワーと操縦性、乗り心地、ラグジュアリーさが重要だ
■GTにふさわしい能力をもったクルマを国内外から5台選出
あらゆる要素を高次元で備える長距離ランナー
「グランツーリスモ」と聞くとゲームの名前を連想する人も多いと思いますが、本来はイタリア語で長距離ドライブを最高のものにするパワー、操縦安定性、乗り心地や快適装備などを備えたモデルを指す言葉です。英語ではグランドツアラーになり、GTと書くこともありますが、注意したいのはGTにはレースに参戦するベース車両としての意味合いも含まれること。そのため、車名にGTとついているからといって、すべてがロングドライブに適したモデルというわけではなく、スポーツ走行を突き詰めたモデルも多くなっています。
そこで今回は、GTの原点に立ち戻り、長距離ドライブを快適に優雅に楽しく走れる最強のモデルはどれだ? ということで、パワーと操縦性、乗り心地(後席含む)、ラグジュアリーなインテリアという3点をメインに、最強と思われるおすすめのGTをピックアップしてみましょう。
アルピナ B5 GT
1台目は、世界限定250台という希少モデルにして、G30型5シリーズ最後のアルピナモデルとなった、B5 GT。アルピナは2026年までにBMWへの譲渡が決まっており、その後はBMW傘下のサブブランドとして再編されることになります。そんな約60年にわたる歴史を誇るアルピナが大事にしてきた、最強のパワーと最高の乗り心地を両立するという、至難の業を貫いて開発された集大成といっていいモデルがこのB5 GTです。
4.4リッターV8ツインターボエンジンのパワーはアルピナ史上最強の634馬力を誇り、最大トルクは860Nmという凄まじさ。直線ではスーパーカーも顔負けの加速を見せながら、路面のあらさなど微塵も感じさせないリムジン級の乗り心地を実現しています。
もちろん、インテリアの仕立ては丁寧で、後席の快適性はいつどんな場所でも約束されているというから、これぞ最強のGTではないでしょうか。
メルセデス・マイバッハ Sクラス
2台目は、ショーファーカーとしてのイメージが強いかもしれませんが、運転してみるとじつはかなり満足感の高い、メルセデス・マイバッハSクラス。S 680は6リッターV12ツインターボエンジンを搭載し、ボディはホイールベースに軽自動車がまるまる収まってしまうほどの巨体となっています。
もちろん後席に座っても極上の時間が過ごせるのですが、アクセルを踏み込めば、走るというより滑るようなシルキーさ。首都高のような継ぎ目が多くタイトなカーブが続くような道でも、デーンと構えて悠々と駆け抜けていきます。数あるV12エンジンのなかでも、ひときわ紳士的なしつけが行き届いている印象で、高回転までまわしても獰猛な顔は見せません。
しかも、ドライブモードには「マイバッハモード」があり、選択するとショーファーカーに最適なサスペンション、トランスミッション、エンジンの制御が行われるのですが、これは運転していても心地よく、ほかでは味わえないものとなっています。