この記事をまとめると
■ブリヂストンから新商品「BLIZZAK VL10A」が登場
■商用バン、小型トラック用のスタッドレスタイヤだ
■145/80R12~235/60R17までの13サイズを用意する
「LT専用ブイエル発泡ゴム」を採用!
今シーズンに向けたスタッドレスタイヤの新製品発表が行われた。今回新たに発売されたのは、ブリヂストンの商用バン、小型トラック用スタッドレスタイヤ「BLIZZAK(ブリザック)VL10A」である。このブリザックブランドは、1988年に同社が満を持して世に送り出したもので、約35年の歴史と伝統をもっているのだ。
スタッドレスタイヤが国内市場に初めて登場したのは1982年のこと。同社とミシュランが販売を開始したとされる。それ以前の冬用タイヤは、スノータイヤやスパイクタイヤが主流であったが、性能面、環境面に問題を抱えていたのである。とくにスパイクによる騒音、粉塵公害、道路の破損はすさまじく、これがスタッドレスタイヤの開発に拍車をかけることになったという。ちなみに、スパイクタイヤは法規制により、1990年以降は事実上国内での使用はできなくなっている。
「一般ドライバーがスタッドレスタイヤを意識するようになり、その性能を認めたのは1985年に発売された横浜ゴムのガーデックスだった」と、当時関西のカー用品店でタイヤ販売を担当をしていた人物が語る。これに対抗するべく登場したのが前述のブリザックで、発泡ゴムの技術によりスタッドレスタイヤで初めて、「ハイグリップ」を堂々と謳った製品である。その人気はすさまじく、「北海道仕様があって、それを取り寄せてくれという客もいた」(同元店員)のだそうだ。
ブリザックVL10AもそのDNAを受け継いでおり、発泡ゴムを進化させた「LT専用ブイエル発泡ゴム」を採用した。これにより、コンパウンド内のミクロの水路と気泡が増加し、氷雪路での除水効果が向上している。また、低温下でもゴムの軟性が保たれるので、グリップ力が大きく向上しているのだ。
トレッドパターンにも工夫が施されている。荷物を載せることで、重量がかかる小型トラックの特性を考慮したパターンを開発し、接地面積を増加させると同時にブロック剛性を高めたのだ。これにより、走行中に力がかかってパターンが変形するという現象を抑え、不要な摩擦が起きるのを防ぐようにしたことで摩耗が抑制されて、タイヤ寿命の長期化を実現している。
こういった新たな技術を駆使した結果、ブリザックVL1(2013年発売)との比較試験では氷上制動距離が13%も短縮したのである。また、1万kmを超える走行試験でも冬タイヤとして摩耗ライフが14%向上(同タイヤ比)。性能はもとより、商用車に不可欠な経済性も高いということだ。サイズは145/80R12~235/60R17までの13サイズが用意されている。
同製品はeコマースの拡大などを背景に、多様化する『物流のラストワンマイル』の現場において、冬の道路特有の凍結、積雪路面などでより安心、安全な運行を支えるスタッドレスタイヤとの位置付けをもっている。積雪路、凍結路、融雪路、乾いた路面など、冬は短時間で街なかの道路が激しく変化する。そこを走行する小型トラックの安全性を確保するために、スタッドレスタイヤは重要な役割を持っているといえよう。
本格的な雪のシーズンが来る前にタイヤの点検を行い、プラットホーム(冬用タイヤの使用限度サイン)を確認して来るべき冬に備えておきたいものだ。