観光バスはエンジンが高性能
最近の路線バスは乗降性も高められて、ノンステップの低床型も増えてきた。これはエアサスを利用し、乗降時にはエアを抜いて車高を下げることで実現している。
一方、観光バスはまず走行速度の領域がとても幅広く、市街地での30~40km/hから、高速道路での120km/h前後まで巡行する可能性がある。そのため、エンジンは路線バスよりも高い性能が求められる。
ボディの長さはいろいろあるが、高速走行時の安定性を確保するため、ホイールベースは長く、高床で床下にはラゲッジスペースが確保されている。乗客の座席が高いのは眺めがよく、景色を楽しむにも適している。乗客からの評判の高さもあって、バスメーカーの架装もハイデッカーが一般的になり、現在はさらに高床なスーパーハイデッカーなどが登場している。
高速バスとしても観光バス車両が使われるが、路線バスほど乗客は頻繁に乗り降りしないので、通路は狭く、フロアは高くて階段が多くてもそれはあまり問題にならない。観光バスはホイールベースが長くても、一般道も走るためある程度の小まわり性も必要だ。とくに駐車場は限られたスペースなので、切り返しをして車庫入れをするにしても、小まわりがきかないと大変だ。
そのため、観光バスの前輪の切れ角は驚くほど深い。ほとんど真横に近いのではないかと思えるほど、前輪が大きく切れることで限られたスペースでの車庫入れを実現している。高速巡行時の車体を安定させる丁寧な操作から、車両感覚を掴んでいるからできる小まわりのきく車庫入れまで、観光バス運転士の運転スキルの高さは相当なもの。路線バスも街のごちゃごちゃした道路を大きなボディで走り抜ける際の車両感覚や見極めは見事なモノだ。
バス運転士はどちらも高い運転スキルが要求されるのである。