この記事をまとめると
■ガソリンスタンドにあるエア充填機のタンクが球体なのは内部の圧力を均等にするため
■空気圧測定ゲージも設置されているためエアの重点と空気圧の調整が一度にできる
■タイヤの空気圧の定期点検と空気圧調整は重要な保守管理のひとつだ
球体のタンクによって安全性が高まる
ガソリンスタンドでタイヤに空気を補充する機器は、丸い球の形で、そこからホースが伸び、空気圧計も備わっている。
なぜ球形なのか。そもそも高圧のガスを補完する容器は、基本的に球形である。たとえば都市ガスを保管するガス会社の巨大なタンクも、球形だ。理由は、内部のガス圧が均等に壁面に加わるからだ。それによって安全性が高まる。もし、四角かったり、別の形であったりして角がある形だとすると、そこに余計に圧力がかかり、そこから破損する懸念が出る。
ほかにも、高圧ガスを運搬するボンベが円筒形であるのは、球形のガスタンクの理由に近い。燃料電池車(FCV)が車載する高圧水素ガスボンベも円筒形で、その上下両端は丸く作られている。
かつて、ガソリンスタンドでタイヤへ空気を補充する際は、圧縮ポンプの近くで、ポンプに接続したホースから補充した。そのため、クルマを給油機から離れた整備ガレージ近くまで移動する必要があった。また、補充した空気によって圧力がどれくらい戻ったかをゲージで測らなければならず、あらかじめ多めに空気を補充し、余剰分を抜きながら調整するのが普通であった。
しかし、それでは手間がかかる。もしほかのクルマが給油待ちをしていれば、ガレージまで移動しにくい場合もあった。そこでいまの携行式が出てきた。携行するには、高圧の空気を保管しなければならないので、容器は球形である必要がある。
保管容器があるなら、そこに空気圧測定ゲージも設置すれば、余分に空気を入れてから圧を調整しなくても、ゲージの数値を見ながら空気を入れられ、同時に空気圧調整ができてしまう。ガソリンスタンドに設置されている携行式の空気入れは、当たり前の備品に見えるが、昔を思えば画期的備品なのだ。
ところでタイヤの空気圧調整は、一月に一度を目安に行うとよいとされている。タイヤから簡単に空気が漏れることはないにしても、駐車中と走行中では温度変化があり内圧は変わる。さらに、季節によって気温の上下がある。その都度、タイヤ内の空気は温度が変化するので、定期的な点検が欠かせない。
そして、空気圧を意識し定期的に圧を点検することにより、自然にタイヤトレッドの摩耗具合にも目が届くようになり、タイヤ交換時期がより適切になって、安全走行にもつながる。
空気圧もトレッドの溝も、快適な走りのみならず、安全に欠かせない要素なので、タイヤを意識するという意義においても、空気圧の定期点検と空気圧調整は、重要な保守管理のひとつになる。