ライバルはズバリ日本の良質な中古車! ロシア・東欧・アフリカなどをターゲットにいま中国が中古車輸出に力を入れまくっていた (2/2ページ)

中国車の中古輸入は実験的な側面もある

 庶民レベル向けの新車として、西側諸国ブランドに代わって正規販売されるようになったのが、中国系ブランド車。ロシアではクリミア半島侵攻直前あたりから中国からの中古車輸入販売が目立つようになっていた。

 一説によれば、とくにロシアの冬の厳しい気象条件下で中国車がどこまで耐久性があるのかを見極めるための中古車輸出なのではないかともいわれている。

 中国からの中古車輸出先はロシアも含んだ東ヨーロッパのほか、中央アジア、アフリカ諸国や中東などとなっている。報道では2025年には40万台規模の中古車輸出台数をめざしているらしい。ちなみに、海外への中古車輸出では、140万台前後で日本が世界トップになっているとも報じている。新車の海外輸出を促進するとともに、国内での乗り換え促進を行えば、いくら国土が広く人口の多い中国とはいえ、排出される下取り車がかなり多くなり、国内でさばききれないという事情もあるようだ。

 新車への乗り換え促進は単に経済刺激策という側面だけではなく、自国自動車産業への支援、そして新能源車をメインとした環境負荷の低いモデルの普及による大気汚染の低減など、政府としても多様な効果を期待しているものと考えている。

 中国は、日本の活況な中古車輸出を横目で見ながら、日本を追い抜き追い越そうとしているのは明らか。ただ、中国車の新車が海外へ出荷されはじめたとき、確かに見た目は日本車に似ていながら価格が安いとのことで人気が高まったが、実際使用してみると耐久性能などに問題があり、再び日本車が脚光を浴びた時期があった。

 海外での中古車展開でも、日本からは良質なHEV(ハイブリッド車)の中古車が数多く海外へ出荷されている。前述した新車のケースのように、オペレーションを間違えると、一時的なブームとして「中国からの中古車」が終わってしまう可能性もある。

 道路や気候など環境面でのクルマへの負担が少なく、一般的には諸外国より走行距離が伸びず、そして国民性として大切に乗る人が多い日本で使われた日本車の中古車はかなりの強敵であり、中国政府としても慎重に中古車輸出の環境整備を進めているようであった。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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