この記事をまとめると
■初代スバル・インプレッサには歴代で唯一2ドアクーペが用意されていた
■WRカーや22Bは2ドアクーペの「リトナ」をベースに製作された
■日本では2ドアモデルのリトナは不人気で1996年9月に終売となった
初代インプレッサは唯一2ドアクーペをラインアップしていた
スバル・インプレッサといえば実用的なハッチバックモデルとして安定した人気を誇る1台であることはいうまでもないが、スバルを愛するスバリストからすれば、インプレッサ=WRCで活躍していたラリーカーのベースというイメージがいまだに強いのではないだろうか?
そんな過去のインプレッサのなかでも、初代モデルには歴代インプレッサのなかでも唯一2ドアクーペモデルが用意されており、STIが手がけた「STiバージョン」や1998年に400台限定でリリースされた「22B」などが知られるところ。
しかし、インプレッサ初の2ドアモデルは、1995年1月に追加された「リトナ」というモデルだったのだ。ちなみに2ドアクーペボディを持ったSTiバージョンは1996年9月に追加されており、1997年シーズンからWRカー規定に合わせて投入された2ドアモデルのラリーマシンはこのリトナをベースに開発がなされたものとなっていた。
そんなインプレッサリトナ、もともとは日本向けではなく北米地域をメインターゲットに作られたもので、スポーティなモデルではなく、実用的なモデルとしてリリースされていた。
というのも、地域によってはあまり治安のよくないアメリカでは、リヤシートに忍び込んでドライバーが来るのを待ったり、ハッチバック車ではリヤガラスを割られて荷物を盗まれたりすることが少なくなく、女性や若者向けにドア数が少なく、独立して外からなかが見えないトランクをもつ2ドアクーペ(2ドアセダン)の需要が高かったのだ。
そのため、インプレッサ以外にも、トヨタのターセルやその後継車であるプラッツ(北米ではエコー)といったコンパクトモデルに、日本にはない2ドアモデルが存在していたのである。
インプレッサリトナもそれらのモデルと同様の実用車であったため、搭載エンジンは1.5リッター(AWD車は1.6リッター)とインプレッサのほかのベーシックグレードと同様のものとなっていた。北米仕様もお国柄を反映してか、もっとも小排気量のものでも1.8リッターエンジンとなってはいたが、ターボモデルなどは存在せず、実用車としてラインアップされていたのだ。
ただ、日本では実用車として2ドアモデルを使用するという考えはすっかり失われており、インプレッサリトナは不人気車となってしまい、前述した1996年9月に2ドアのホットモデルであるSTiバージョンが登場するのと入れ替わる形で終売となってしまった。