ヤマハオーディオがもつ脅威の性能 次に試聴したのは新型アウトランダー のPグレードに標準装備される8スピーカーのダイナミックサウンドヤマハプレミアム。アルティメイトの12スピーカー&デュアルアンプの存在を知ってしまうと物足りなさを想像してしまいがちだが、なんの、引き締まった低域から鮮明な中域、耳にやさしくもある高域のバランスが取れたサウンドを何の調整もなく、聴かせてくれたのだ。ガチな音楽ファン、オーディオマニアでもない限り、「クルマのなかでこんなに素晴らしい音が聴けるなんて!!」と驚くはずのリスニング空間となっていたのである。筆者としても、車内でいい音を聴くのにこれで十分すぎると思えたほどだ。
三菱アウトランダーに搭載されるヤマハのスピーカー 画像はこちら
最後に試聴したのが、Pエグゼクティブパッケージに搭載される12スピーカー+デュアルアンプのダイナミックサウンドヤマハアルティメイト。アルティメイトではサウンドタイプ(Signature/Lively/Powerful/Relaxing)からSignatureを選び、リスニングポジション(前席/運転席/助手席/前席/後席)からまずは「全席」を選んで試聴。すると、とくにフロントドアのウーハーからの低域の厚み、豊かさはダイナミックサウンドヤマハプレミアムより1枚上手。もう1曲、ライブ音源も聴いてみたのだが、もうライブ会場の特等席で聴いているような臨場感溢れるサウンド、音の広がりは圧巻だ。
三菱アウトランダーに搭載されるヤマハのスピーカーをテストする青山氏 画像はこちら
次に同じ2曲を「運転席」ポジションで試聴。するとどうだ、さらなるダイナミックさ、臨場感、めくるめく音の渦に巻き込まれたような、作り手の意図がそのまま伝わってくるような音場体験が叶うことになった。ポジションの選択によってボーカルの定位が手前に来たり奥まったりするため、好みの調整ができるのもマニアックで楽しい。個人的には、ドライバー本人が最高の音で聴くには「運転席」のポジションが最適と思えた。
三菱アウトランダーに搭載されるヤマハのスピーカーをテストする青山氏 画像はこちら
そういえば、例の「WHAT YOU WON’T DO FOR LOVE」を教えてくれた音楽プロデューサーのスタジオにもヤマハのNS-100シリーズがモニタースピーカーとして鎮座していたのを思い出した。音源の基本であるステレオ再生はもちろん、シアターサウンドにも対応するプロ御用達のスピーカーであり、ヤマハはそうした現場でも大活躍していることを思い出せば、アウトランダーが新たにヤマハと手を組み、共同開発に挑んだのは、欧州への輸出開始を含め、メイド・イン・ジャパンの総出演という意味でも大正解だったのではないかと思える。
三菱アウトランダーPHEV MCモデルのインパネ 画像はこちら
ちなみにヤマハのカーオーディオが国産車に搭載されるのは、このアウトランダーが初でもある。それだけに、ヤマハも相当な熱量をもって共同開発したのではないだろうか。
とはいえ8スピーカーのダイナミックサウンドヤマハプレミアムでも、カーオーディオとしては文句なしの”大音量に耐えうる”上質なサウンドを聴かせてくれることは間違いない。
今回は主に停車中のアウトランダーで試聴したが、走行中でもロードノイズに応じた補正(低域をもち上げる)が行われ、さらに空調使用時、ワイパー作動時にも音を補正してくれるというのだから、現実的なリスニングルームとしての走行中のアウトランダーでも、素晴らしいヤマハのプレミアムサウンドシステムを堪能できることになる。
三菱アウトランダーPHEV MCモデルの走り 画像はこちら
なお、P、Gグレードでも約20万円のオプション料金でダイナミックサウンドヤマハアルティメイトにグレードアップが可能だ。アルティメイトとプレミアムのどちらを選んでも、ヤマハスピーカーの真髄に満足できること必至だと思える。