この記事をまとめると
■個人間カーシェアサービス大手「エニカ(Anyca)」が2024年でサービスを終了する
■貸す方には大きなリスクがつきまとうのでトラブルが多かった
■今後個人間カーシェアサービスは今後規模を縮小し無くなると予想される
個人間カーシェアが相次いで終了
2024年10月15日、株式会社DeNA SOMPO Mobilityは、同年12月31日(火)までに個人間カーシェアサービス「エニカ(Anyca)」のサービス提供を順次終了することを発表しました。2015年9月にサービスを開始してから約10年、愛車を登録したり、1度は利用したことがある人もいるでしょう。
これで、dカーシェアのマイカーシェア、GO2GO、CaFoRe(カフェオレ)、CAROSET(カローゼット)、ridenow(ライドナウ)に続き、ついにエニカも運用を終了することとなりました。その結果、個人間カーシェアのサービスそのものが姿を消しつつあります。
なぜ、個人間カーシェアのサービスの運用停止・あるいは終了が相次いでいるのでしょうか。その理由やこれまでにあったトラブルに関して考察してみました。
●なぜ、個人間カーシェアが消えつつあるのか
ひとつには、運営する企業が「サービスを継続しても、これ以上の大幅な会員の増加が見込めないであろう」と結論づけことが挙げられます。企業としてサービスを運営する以上、数人〜数十人規模(あるいはそれ以上)の社員を投入する必要があります。毎月、サービスが赤字になろうと社員には給与を支払わなくてはなりません。今以上の費用対効果が見込めないとなると、サービスの運用停止・あるいは終了にせざるを得ないのです。
また、企業がサービスを提供し、運営する以上、何らかのサポートが必要です。個人間カーシェアともなれば、百万円単位のクルマの貸し借りが毎日ように行われ、その結果、さまざまなトラブルが起こります。なかには想定外のトラブルや裁判沙汰になるものも含まれるため、運営する企業がどこまでサポートするか、あるいはどこまで介在するか非常にデリケートな判断が求められる事案も含まれます。つまり、運営する企業にとってはリスクが大きいサービスなのです。
それには、以下のようなトラブルが含まれます。
●よくあるトラブル1:傷をつけても知らん顔
バンパーをこすった、ホイールをガリっとやってしまった、飛び石でフロントガラスにヒビが入った……。故意または不慮のアクシデントにもかかわらず、借りたクルマに傷をつけても知らん顔で返却するケースがあったことも事実。とくに、夜間に返却する場合、周囲が暗いなかですべての傷の確認をするのは非常に困難です。
借り主が傷をつけたと思われる瞬間がドライブレコーダーに記録されていれば、証拠として追求することもできます。しかし、借りた本人も気がつかないレベルでバンパーをこすった場合(古いクルマにはコーナーセンサーが装備されていないことも多いだけに)、映像などの証拠を押さえるか、現行犯でないかぎり責任の所在があいまいになりがちです。こうして、結果的に貸した側が泣き寝入りすることになってしまうのです。
●よくあるトラブル2:貸し出し中の事故
運転が不慣れなクルマをぶっつけ本番でドライブするわけですから、事故を起こす確率も必然的にあがります。うっかり事故を起こしてしまうこともあれば、背後や側面などから追突されてしまう不慮な事故に遭遇してしまうケースもあります。こうなると気の毒とかいいようがありません。いずれにしても、事故を起こしてしまったら事故処理をしなくてはなりません。
クルマを貸し出す前に「事故を起こした場合」といくら明文化していたとしても、事故を起こしてしまうと冷静さを欠いてしまい、適切な判断ができなくなりがちです。警察を呼ばず、さらには保険会社をはさむことなく、きちんと事故として処理をせずに当事者同士で勝手に示談にしてしまったら、その後の処理が厄介なものとなりがちです。