日本中の子どもが憧れたスーパーカーは本当に凄いクルマだった? スーパーカー大王が体感した「ロータスヨーロッパ」「ランボルギーニミウラ」の走りとは (2/2ページ)

新車時に近い状態の個体に乗ってあらためて旧いクルマの価値を知る

 幸運にもモータージャーナリストなる仕事を得て、その後に何回かヨーロッパに乗る機会が得られたが、最初の数回はやはりそのインプレッションは想像していたとおりだった。とてもその軽快さやハンドリングの魅力を味わうには至らなかったし、高速道路のクルージングを楽しむには勇気が必要だった。

 だが、それからさらに数回の試乗を経てやってきた、フルレストアを終えたばかりというヨーロッパ・スペシャルの走りは大きく違った。同じロータスのエランから受け継がれた126馬力の1.6リッターツインカムエンジンは、じつに素晴らしい吹き上がりとパワーフィールを披露し、さらにそのコーナリングたるや楽しみの連続ではないか。

 ロータス・ヨーロッパというスーパーカーを見て憧れ、そして現実を知り落ち込み、けれども新車の走りを味わって再びその価値を知る。ヨーロッパはそんな経験をさせてくれたモデルだった。

 同じような体験は、やはり1966年に発表されたランボルギーニ・ミウラでもいえた。こちらは自分自身の目を覚ましてくれたのは、ランボルギーニのクラッシック部門である、ポロ・ストリコがレストアした「ミウラP400SV」と「ミウラP400S」。ミウラが生誕50周年を迎えた2016年、ランボルギーニはこの2台を提供し、1969年に公開された映画、「ザ・イタリアン・ジョブ」のロケ地である、サンベルナール峠を封鎖し、その走りを存分に楽しませてくれたのだ。

 長大なV型12気筒エンジンを横置きミッドシップするがゆえのコーナリングの難しさはあったものの、クラッチやステアリングといった操作性の重さはそこにはなかった。そして何より印象的だったのは、そのGTとしての快適性にほかならなかったのである。

 はたしてこれから、それだけの新車に近いコンディションのスーパーカーに乗っていけるだろうか。次はコーナリングマシンとしてのカウンタックのキャラクターを、ぜひ味わってみたいものである。スーパーカーを評価するにはまずは新車に乗るべし。新しい目標ができた。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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