この記事をまとめると
■車両盗難は大阪/愛知/千葉/茨城/埼玉の五府県が2015年よりワースト5
■特定地域に車両盗難が集中する理由はクルマを盗難しやすい環境が整っているから
■環境が大きく変わることは考えづらくワースト5の顔ぶれもまた変わることはないはず
窃盗団にとって都合のいい環境が揃っている地域がある
クルマ好きにとって避けたいのは事故、故障、そして盗難かと。とりわけ、盗難は悔やんでも悔やみれない度合でいえばダントツで、枕を涙でぬらした方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。ところで、クルマの盗難被害について、2015年以降はある地域がずっと上位を占めているというホラーのようなデータがあるのです。当該地域にお住まいの方はすでにご存じかもしれませんが、盗難事件が多い理由も含めてちょっと警鐘を鳴らしてみたいと思います。
ある保険会社の調査によれば、クルマの盗難は2003年をピークにして、2020年ごろは10分の1程度にまで減っているとのこと。それでも、コロナ禍が過ぎてからは微増傾向にあり、警戒は怠ることなく続けるべきだとしています。で、盗難は減少しつつも、特定の地域に集中して発生する傾向も見られたとのこと。
ずばり、大阪/愛知/千葉/茨城/埼玉の五府県は2015年以降、順位を変えながらもずっとワースト5をキープ。これだけでも嫌なデータなんですが、さらに耳をふさぎたくなるのが検挙率の低さ。五府県はいずれも全国平均の検挙率を大幅に下まわっており「たくさん盗まれる、けど戻ってくるこたぁない」とまさしく負の連鎖。クルマの盗難に関する情報提供者に報奨金を出している県もあり(愛知/茨城)警察だって警戒を強めているはずなんですが、残念ながらさほど効果も上がっていないようです。
こうした地域に被害が集中する理由は、窃盗犯がクルマを盗難しやすい環境が整っているのが理由と考えられています。その環境をあげていくと、まずはクルマの流通量、保有数が多いことで、すなわち窃盗犯がターゲットとなるクルマを選びたい放題ということ。そして、これら五府県は道路網も充実した土地柄ということで、窃盗犯が盗んだクルマを運ぶのにも不都合が少ないと見られています。ちなみに、道路網の充実と防犯カメラの数は比例しませんからね。
次いで、広くて平らな土地が比較的多いことも窃盗犯がクルマを盗みやすい条件にあがっています。これは、盗んだクルマをストックしておく倉庫や、解体する作業場を確保しやすいということにつながります。ご存じのとおり、国内で盗まれたクルマはほとんどが海外へ輸出され、その際はパーツ単位に解体されることも多いのです。こうした作業を目立たないところでやろうとしたら、広くて平らな土地があるエリアを狙いますよね。
そして、埼玉を除けば海外向けルートを確保できる貿易港があるという環境。これも盗難件数が増える条件で、特定の地域がワーストに固まってしまう要因に数えられているのです。
これから先、前述の環境が大きく変わることは考えづらいので、ワースト5の顔ぶれもまた変わることはないはず。むろん警察も状況を把握しており、重点的な警戒を怠っているわけではありません。
が、やっぱりクルマ盗難にはオーナー自身の対策がもっとも有効となるに違いありません。クルマから離れるときは必ず施錠する、車内にカバンや貴重品を置きっぱなしにしない、基本中の基本ですが、窃盗されたケースにはこの2点がおざなりになっていたケースも多数あるのです。
ワースト5エリアにお住まいの方はもちろん、それ以外の地域にお住まいの方だって、くれぐれも被害にあわないよう万全の取り組みをなさること、強くオススメいたします。