見た目だけでもタダモノじゃない感が伝わってくるぜ! 「ルノー エンブレム」は水素燃料電池を使ったまったく新しいEVだった (2/2ページ)

水素燃料電池をレンジエクステンダーとして使用する新コンセプト

 そのために考えられたパワーユニットが40kWhのニッケルマンガンコバルトバッテリーと水素燃料電池の組み合わせで、この両バッテリーから供給される電力をもとに、レアアースを使用しないリヤアクスルに搭載したエレクトリックモーター1基を駆動。最高出力で217馬力を発生する仕組みだ。

 ニッケルマンガンコバルトバッテリーの残量が低下すると、水素燃料電池からの発電でそれを充電。ちなみに水素補充のためのストップを2回(トータル10分)行うと、走行可能距離は1000kmに達することができるという。

 そして、前で触れた1750kgという車重の目標値は、すでに市場にあるセニックEテックより100kgほど軽い数字になる。エアロダイナミクスも同様の比較で、Cd値は0.29に対して0.25にまで向上を果たしている。

 現在の段階ではあくまでもコンセプトカーとしての扱いだが、「Ampr」と呼ばれるそのプラットフォームは、すでにセニックEテックなどで実績のあるもの。それを考えると、実際にこのエンブレムが市場へ投入されてくるのも意外に早い段階と見るのが妥当だろう。

 フランス車のファンばかりではなく、あらゆるブランドのファンにも大きな刺激を与えてくれそうなエンブレム。レンジエクステンダーに水素(水素燃料電池)を用いるという発想は、インフラの整備しだいでは、これからのエコカーのなかでもひとつの大きなトレンドとなっていくかもしれない。

 はたしてこの日本で、ルノー・エンブレムの走りを楽しむことができる日は訪れるだろうか。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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