旧車のEV化キット販売でエレクトロモッドのブームが来るかも?
カーボンファイバーに置き換えられたフロントフードの下には、EDMと呼ばれる電気駆動システムが収められた。400V、250kWを発揮するモジュールはすべてアルミ削り出しのマウントに支えられ、追加されたアクセスパネルにより、補助バッテリーやクーラントポンプに簡単にアクセスしてサービスを受けることが可能となっている。
また、4つのバッテリーパックには、合計384個のリチウムイオンバッテリーセルが搭載され、約335馬力の最大出力、推定250マイル(約400km)の航続距離を誇る。
当然、コンバートキットとして発売される際は、バッテリー容量などの変更はあるはずだが、クライスラーは「往時のパフォーマンスを損ねることは決してなく、むしろEV独自のエキサイトメントが得られる」とコメント。当時のプリマスGTXはスタイルのわりに重たかったため、ライバルに水をあけられる場面もないではなかった。が、このパフォーマンスならば十分スリリングな走りが楽しめることは間違いないだろう。
そして、カーボンが多用されたスタイリングのアップデートも見逃せない。前述のフロントフードはもちろん、モダナイズされたフロントグリルや目立つことこの上ないリップスポイラー、圧巻は18✕ 9インチの鍛造マグネシウムホイールとピレリP-ZERO(PZ4)タイヤを履いた足まわりだろう。むろん、下げられた車高によるファイティングポーズはアメリカンマッスルカーのお約束ともいえるカスタムにほかならない。
さらに、コンセプトカーらしくインテリアにも徹底的なカスタムが加えられ、ジープ・ラングラーのシートを流用したローバックシートや、4連アナログメーターも新たなビジュアルに変更されている。ところが、ここまでカスタムしておきながらサイドウインドウはオリジナルの手動レギュレーターのまま。最先端のエレクトロモッドながら、クラシックテイストも混在するというセンスのよさといっていいだろう。
内外装いずれも基調となったインディゴブルーをあしらい、レザーのステッチにはEVを想起させるオレンジの糸を用いるなど、たしかに普通のレストモッドでは収まりきらないオリジナリティに満ち溢れる。
プリマスGTXエレクトロモッド・コンセプトは新たなジャンルに違いないが、クライスラーは見事に先鞭をつけたといっても過言ではないだろう。