納期遅延でも再販価値が高いというメリットで好調のトヨタ
先ほど「日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025」を獲得したホンダ・フリードの宿敵といえばトヨタ・シエンタ。お互いの需給体制の違いもあるので一概にはいえないものの、11月単月をみると、シエンタが販売台数で上まわっている。
2024年1月から11月までの累計販売台数でも、フリードは途中でフルモデルチェンジを実施しているので条件が同じとはいえないが、シエンタは10万台超えをしているが、フリードは6万台強となっている。「対シエンタ」という面では、今回のカー・オブ・ザ・イヤー獲得を追い風のひとつにしていくのかもしれない。
毎度毎度のことになるが、登録車のみのランキングでは、トップ10のうち7台、トップ20のうち13台がトヨタ車となっている。そのなかで比較的需給体制が良好なのは、カローラ(除くカローラクロス)、プリウス、アクア、ライズ、クラウンクロスオーバー、クラウンスポーツぐらいになっている。「時間がかかっても納車を待つ」とか、「受注再開まで待つ」という、結果的に「納期がかかる」というネガティブな面に対し、「再販価値がいい」などというメリットがトヨタ車では上まわっていることを表しているように見える。
スズキ・フロンクスは初めてフルカウント月となったが、1713台で登録車のみで35位に入っている。月販目標台数1000台なので好調な船出となっていることがうかがえる。
軽自動車のみのランキングではN-BOXのトップが続いているが、興味深いのは2024年1月から11月までの累計販売台数での2位スズキ・スペーシアとの差である。2023年1月から11月の累計販売台数ではトップN-BOX、2位ダイハツ・タント、そして3位がスペーシアだったのだが、N-BOXとスペーシアの差は約10万台となっていた。しかし、2024年11月ではトップN-BOX、2位スペーシアとなり、その差は4万台弱まで大幅に縮小している。
これはタントが一連の問題の影響もあり前年比57%と販売台数を大きく落とすなか、そのタントを購入候補としていたお客をスペーシアが独り占めした結果ともいえるのだが、同時にN-BOXはタント購入希望客の囲い込みが不十分であり、しかも販売全体の勢いもいまひとつということを露呈しているといってもいいだろう。
政治の世界では「2位ではだめなんですか」という名言があるが、軽自動車販売の世界では、N-BOXは販売台数稼ぎのための「自社届け出(ディーラー名義などでナンバープレートだけつけること)」が目立っており、N-BOXを深追いするよりは2位に甘んじていたほうがいいようにも見える。
累計販売台数ベースでスペーシアもヤリスシリーズもどちらもほぼ4万台N-BOXに差を付けられているので、2024暦年締め新車販売台数ナンバー1はほぼN-BOXできまりともいえるが、そのための代償は例年よりも大きかったように見える。
登録車ではトヨタ同士とはなるものの、現状ではヤリスがトップとなっているが、カローラとの差はわずかなので、12月の動き次第というのが現状となっている。