この記事をまとめると
■「自動運転の実証実験が始まる」という報道を見かける機会が増えた
■地域交通の自動運転が実現すれば一部の社会課題が軽減される
■自動運転の実証実験がよりよいサービスの提供につながることに期待したい
自動運転技術を地域交通に導入するには高額な初期投資が必須
「ウチの町で、県内初の自動運転の実証実験が始まる」。そんなテレビニュースやネット情報を最近、見かけることが少なくない。それもそのはずで、国は2025年度に全国で約50カ所、そして2027年度には約100カ所で地域交通に関する自動運転の実用化を目指しているのだから。
背景には、人口減少、バス・トラックなど物流の2024年問題、高齢者の免許返納など、日本が直面しているさまざまな社会課題がある。
地域交通の自動運転が進めば、ドライバー不足の解消、交通の需要と供給バランスの適性化、街なか移動の静粛性や環境負荷の軽減などが、ポジティブな要因として挙げられる。
他方、自動運転の導入で課題となるのが「コスパ(コストパフォーマンス)」だ。ひと言で自動運転といっても、コストのかけ方によってさまざまな仕様がある。
もっとも廉価なのが、ゴルフカートを活用して地中に埋設した電磁誘導線を辿るタイプだ。その反対に、開発の初期投資が莫大なのが、いわゆる生成AIを活用したタイプ。アメリカではテスラやグーグル(親会社はアルファベット)から独立したウェイモなどの事例がある。
その中間として、車内にハンドルやペダル類などの運転操作系がなく、対面などで座るタイプのバンタイプで、自車センサーと道路側センサーを協調させるタイプがある。