この記事をまとめると
■令和3年に車両火災は1日10件(年間3512件)のペースで発生していた
■トンネル内で火災が発生した場合は煙の先へ走っていくのは厳禁だ
■火災を発見したら初期消火を試みて無理そうであれば鍵は挿したまま非常口から逃げるべし
逃げ場がないトンネル内の火災! どうすればいい?
総務省消防庁によれば、令和3年に起きた車両火災件数は3512件。全国で1日10件の割合で発生していることになる。また、NEXCO中日本管内に限ったとしても月平均2回以上、車両火災による通行止めが発生していることもわかっている。
そうした車両火災が、逃げ場のないトンネル内で発生した場合、かなり状況は最悪だ。もしトンネル内で車両火災が起きたらどうすればいいのか。シチュエーション別におさらいしておこう。
●自分のそばで火災が発生した場合(火災現場付近にいた居合わせた場合)
自分が火災現場の直近にいるときは、必ず火災車両の手前で停車すること。炎と煙の先はどうなっているのか状況がわからないので、絶対に火災車両を追い越さないようにする。
そして、クルマを道の端に寄せて速やかに避難。避難するときは、クルマのキーを残したまま、窓を閉めて、パーキングブレーキをかけて、エンジンを切り、ドアはロックしないこと。
クルマを降りたら、トンネル内の非常口から、避難経路を経由して地上に脱出。
●トンネル内に入ってから火災に気づいた場合
トンネル内に設置されている、押しボタン式通報装置(50mおき)もしくは非常電話(200mおき)で火災を通報する。
そして、可能であれば50m間隔に2本ずつ設置されている消火器、もしくは消火栓で、初期消火を試みる。
完全な鎮火が難しそうならそのまま避難。
また、火災現場まで距離があり、トンネル用信号機やトンネル警報板で火災を知った場合は、その指示に従い停車して避難する。トンネル内放送等で指示があっときも、クルマから降りて非常口へ向かおう。
クルマの停車の仕方は、上掲のとおり。もし余裕があれば、貴重品、車検証などはもち出し、名刺など連絡先を運転席の上などに置いておくといい。
もちろんUターンや、バックでの避難はもってのほかだ。
●トンネルの進入前に火災に気づいた場合
トンネルの手前や入口にある信号機や警報板、抗口フラッシング等でトンネル内の火災を知った場合、その情報に従ってトンネルの手前で停車する。
トンネル内に絶対に進入しないことがとにかく肝心。
停車するときは、左側(左側に駐車できないときは右側)にクルマを寄せ、消防車などの緊急車両が通行できるように中央部を空けておく。
停車後は警察やパトロール隊の指示に従って行動すればOK。
火災は火による熱の影響も怖いが、煙による「一酸化炭素中毒・窒息」でなくなるケースも火傷と並んで多いので、トンネル内での火災の場合、とにかく煙に巻かれる前に避難することがとっても重要。
愛車を残して避難するのも後ろ髪を引かれる思いだろうが、トンネル火災ではとにかく身ひとつで素早く安全な場所まで避難することが最優先。
「慌てるな」といわれても難しいかもしれないが、避難時は落ち着いて行動するようにしてほしい。