ロボタクシーの実用化でアメリカと中国が争いながら世界をリード! 日本は技術よりも規制が問題 (2/2ページ)

技術的には作れても日本の法の壁は厚い

 前述したように、中国やアメリカではタクシーとして、自律走行するロボタクシーのシステムを開発している企業が主導的に実証実験運行や営業運行を行っている。しかし日本では、「日本型ライドシェアサービス」を見てもそのような流れにはなっていない。システム開発、そしてそのシステムを搭載する車両を生産するメーカーがもっと表に出てくるなかで、普及に向けてより活発に動かない限り、本格普及はなかなかスピーディには進まないだろう。

 2024年10月10日にテスラは、アメリカ・カリフォルニア州にてサイバーキャブを発表した。これについてのある報道を見ていたら、有識者が「個人でこの車両を購入し、普段は自家用車として移動に活用し、使わないときはロボタクシーとして走行させることも可能」と説明していた。ちなみにサイバーキャブには、運転操作に必要なステアリングやペダル類は用意されない。

 ただ、席上で既販車となるテスラのモデル3とモデルYに、カリフォルニア州とテキサス州にある車両から2025年より完全自動運転可能なシステムを搭載して販売するとも発表していた。日本では技術やオペレーション面で問題がなくとも、さまざまな規制により、このようなことまで実現可能とするには相当な時間を要することになるだろう。

 運転士不足による減便や路線廃止が目立ち、タクシーより働き手不足が深刻なバス業界(一般路線バス)では、日本でも自動運転バスの実証実験はタクシーに比べると進んでいるといえよう。これは政府も公共輸送機関としてのバスの現状を憂慮し、さまざまな規制を順次緩和しているからこそのものとも考えられる。

 政府の肝入りもあり、特定技能で在留資格を取得した外国人を運転士として雇用可能となり、業界としてはまず外国人運転士の積極雇用を進めることで働き手不足解消を試みようとしており、次年度からは各地で外国人が運転するバスやタクシーが街なかで目立つことになりそうだ。

 ただ、「外国人だから」というつもりはないが、日本人と価値観や育った環境の違いから乗客とのトラブル発生にどのように対処していくかは課題となってくるだろう。

 日本は世界に冠たる自動車生産国であるし、ロボタクシー開発についてはなんら心配する必要はないだろう。ただ、ロボタクシーはいままでにない価値観で生み出される新たなサービスでもあるので、とくにさまざまな規制がいまだに多いとされる日本では、技術開発と同時に規制緩和というものも進める必要がある点では、諸外国に遅れをとりやすいともいえる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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