この記事をまとめると
■「シューティングブレーク」と呼ばれる2ドアのワゴンモデルが数多く誕生している
■最初にシューティングブレークを名乗ったのはロールス・ロイスだった
■最近は5ドアワゴンにもシューティングブレークを名乗るモデルも登場している
「狩猟用のワゴン」という意味で馬車の時代に生まれた言葉
こと実用性で割り切ってみると、クルマのドアは多ければ多いほど便利です。すると、2ドアというのは何かにつけて不便というレッテルが貼られがちで、走行性能を優先したスポーツカーやスタイルを重視したクーペに採用されることがほとんどかと。
ところが、世のなかにはシューティングブレークなどと呼ばれる2ドアのワゴンが数多く生まれています。はたして実用性はあるのか、はたまたスタイルが超イケイケなのか、なかなか微妙なポジションを攻めているのではないでしょうか。
シューティングブレーク(Shooting Brake)とは、その名の通り狩猟用のワゴンといった意味で、もともとは馬車の時代に生まれた言葉。狩りをする人と、その荷物や狩猟犬を載せる馬車、すなわちフレームのみのオープンボディだったことが伝えられています。
クルマを使う時代になると、最初にシューティングブレークを名乗ったのはやっぱりロールス・ロイス(1910年)で、狩猟用というより2ドア、ふたり乗り、荷物スペース多め、くらいのニュアンス。このロールスが名付けたというのが重要で、後に登場するイギリス製2ドアワゴンはたいていシューティングブレークというシャレたネーミングが与えられたものです。
我々、日本人にとってもっとも馴染み深いのは、やっぱりジャガーXJ-Sシューティングブレークではないかと。クーペをベースにルーフを延長し、リヤの荷室容量をアップ。たしかに天高、縦横ともに広がっているため「なるほどライフルだのショットガンも積めそうだ」と納得させられたものです。
ちなみに、ジャガー本社の製造でなく、リスターなど社外のコーチビルダーの作品であり、無論、大金持ちがオーダーしたとのこと。この大金持ちとか英国貴族が乗るというイメージもXJ-Sだからこそ根付いたといえるかもしれません。
また、アストンマーティンをベースにしたシューティングブレークも同様で、実用性はともかく、2ドアワゴンのカッコよさをこれでもかと見せつけてくれたのです。