金属の塊から削り出したよう! 新型BMW X3のシンプルかつ迫力ボディをデザインのプロが分析

この記事をまとめると

■2024年11月28日に日本市場で4代目BMW X3が発表された

■スタイリングにはコンセプトカーの「ビジョン・ノイエ・クラッセX」の要素を取り入れた

■新世代のBMWデザインを強くアピールしている

モデルチェンジでイメージを一新したBMW X3

 BMWは11月28日、プレミアム・コンパクト・セグメントのSAVであるX3の新型モデルを発売しました。4代目となる今回は、マイルド・ハイブリッド搭載やBEVの設定などが話題ですが、デザインも見所満載。そこで、ここでは真新しいエクステリアについてチェックしてみたいと思います。

●より長く、広く、そして低いボディを目指す

 新型は先行した1シリーズ同様、先代のプラットフォームを流用し、基本イメージを踏襲してのモデルチェンジであり、そこへコンセプトカーである「ビジョン・ノイエ・クラッセX」の要素を取り入れているのが特徴です。

 全体のパッケージを見ると、全長4775mm×全幅1920mm×全高1660mmのスリーサイズは、先代より35mm長く30mm広く、そして15mm低いという(ホイールベースは同一)、最近のモデルチェンジの流れに沿ったもの。

 発表会に登壇した同社プロダクトマネージャーの横山タンケ・礼音マーティン氏(以下同)は「高くなったボンネットからフラットなルーフラインにつながるラインと、長くなったオーバーハングも含めてより伸びやかなフォルムになりました」と語ります。

 フロントでは、ナナメのラインを入れた垂直のキドニー・グリルや、2重の環状シグネチャーによるLEDヘッドライトが見所。ただ、大型のグリルはコンセプトカーのミニマムな表現とは大きく異なります。

「そこは、SUVらしい堂々としたボディ全体に合わせた大きさ・形状としていて、必ずしもコンセプトカーと同じ形状にするとは考えていません」と、あくまでX3としての独自性が優先された格好です。

 次にサイドに目を移すと、先代にあった水平基調の強いキャラクターラインは姿を消し、リヤへ向けてキックアップしたショルダーラインによって疾走感が強調されています。また、ホイールアーチは樹脂製のクラッディングが外され、かつ非常に幅広い表現に変化。

 結果、サイド面はコンセプトカーに近いクリアな表情が特徴となっています。

●シンプルな面が目を引くリヤパネル

 一方、リヤでは独特のテールランプ形状が新しいところ。これはX5も同じですが、Xシリーズの特徴として、L字型のランプを上下に合わせることでT字を表現しています。じつは先代もモチーフとしては同じで、それを立体的にリデザインした新しい表現となります。

 また、新しい5シリーズから見られるボディのクリーンな造形はBMWの新しいデザイン言語ですが、X3ではフロントのスッキリした面やクリアなサイドに加え、とりわけリヤの滑らかなパネルに強く反映されています。同ブランド車でこれだけシンプルな面を見たのはじつに久々かも?

「大胆、モダン、アスレチック」をテーマにした新型は、BMW自ら「金属の塊から削りだしたよう」と語る新世代デザインを強くアピールしています。ただ、継続された巨大グリルやキックアップ基調のサイド面などを見ると、それはビジョン・ノイエ・クラッセXというコンセプトカーへ一気に移行するのではなく、あくまで現行各モデルのなかへ徐々に反映させる手法のようです。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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