【試乗】雰囲気重視でガマンを強いられるイタフラ車は終わった! 新型ドブロは装備も走りも快適そのものな超オシャレファミリーカーだった (2/2ページ)

先進安全運転支援機能の充実でストレスを大幅に軽減

 しかし、マイナーチェンジ最大の進化は、先進安全運転支援機能にある。高速走行で威力を発揮するACC(アダプティブクルーズコントロール)は以前から付いていたが、いわば旧式の制御だった。このマイナーチェンジモデルではミリ波レ―ダーの追加によって、停止後、3秒以内の自動再発進を可能としている。渋滞時、3秒では物足りない……という意見もあるだろうが、できるできないは大違いといっていい。

 そのACCとの組み合わせで便利なレーンキープ性能も、今回は右寄りや左寄りなど、ドライバー任意の位置で車線内のポジションを維持するレーンポジショニングアシストを新たに追加。高速走行でのロングドライブにおいて、ドライバーの運転にかかわるストレスを低減してくれることは間違いない。

 ACC(アダプティブクルーズコントロール&スピードリミッター)のスイッチの場所も変更され、ステアリングコラムから常識的なステアリングスポーク上(国産車の右に対して左に配置)に移動。使いやすさが高まったことはもちろんだ。

 マイナーチェンジにおける追加装備を整理すると、LED ヘッドライト&フロントフォグランプ、10 インチ タッチスクリーン(新インフォテイメントシステム搭載)、10インチフルカラーTFTマルチファンクションディスプレイ、寒い時期に嬉しいステアリングホイールヒーター、スマホの充電に不可欠なUSB-C typeソケット2個(スマホ置き場のすぐ隣)、スキッドプレートが新たに加わっている。

 ボディカラーはヴォラーレブルーおよびシネマブラック(試乗車)の2色を追加。ジェラート ホワイトを加えた3色展開となる(アースカラー系の色もあっていいとも思うが……)。

 さて、ドブロの2列シートのマイナーチェンジモデルに乗り込めば、視界の高さはもちろん、深いセンターコンソールボックスやルーフコンソールなど、収納の豊富さとともに、商用車派生とは思えない運転席まわりの現代的仕立てに満足できる(もっとも樹脂部分の質感に関しては商用車派生と思えなくもないが)。ちなみにメーターはド派手なピンク色のリングだったが、これは色を変更できるから安心してほしい。

 スイッチ式のシフトセレクターをDレンジにセットして走り始めれば、低速域では軽めのステアリングの扱いやすさ(速度を増すと引き締まる)とディーゼルターボエンジンの振動の少なさ、スムースな回転フィール、そして8速ATのスムースな変速が印象的だ。最大トルクが1750回転から発揮されることもあり、じつにトルキーに加速する。

 1560kgの車重に対して動力性能は十二分といっていい。アクセルペダルの踏み始めのレスポンスは穏やかなものの、軽快感ある走りを味わわせてくれるところがドブロらしさ。

 乗り心地は文句なしだ。荒れた路面の低速域ではややゴツゴツしたタッチを伝えてくるものの、速度を上げるほどに足まわりがしなやかに動いてグッと快適になり、路面に張り付くような安定感ある走りになるあたりは、なるほどラテン系欧州車ならではの絶妙な躾けだ。なにしろ段差を乗り越えたときのショック、振動は最小限。乗り心地に関しては”商用車派生”を忘れたほうがいい!! といえるほどで、しかも想像以上に静かな走りを楽しませてくれるのだ。

 これなら、ACCの装備もあって、遠路の目的地、アウトドアフィールドへとドライブしても、ドライバー、乗員ともにストレス最小限。元気ハツラツのまま到着し、休日、アウトドアライフを楽しみつくせるに違いない。

 なお、価格はマイナーチェンジ前の399万円から414万円に値上げされているが、装備内容のグレードアップからすれば納得の範囲といっていいだろう。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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