「らしくない」と1代で途絶えたホンダの名車
次は、シルキーな吹き上がりと官能的なエンジンサウンドが多くの人を魅了した、日産の直列6気筒エンジン「RB型」。1984年に生産がスタートし、1990年代にビッグパワーの黄金期を作り出した数々のモデルたちに搭載され、国内外に名機としてその名を轟かせたエンジンでした。
主な搭載モデルは、R31型からR34型のスカイライン、ローレルやセフィーロ、フェアレディZ(31型)、ステージアなど。しかし、2000年代に入るとFFモデルが主流となってスペース効率に優れたV6エンジンが重宝されるように。また、基本的に縦置きに搭載する直6エンジンでは十分なクラッシャブルゾーンが取れず、衝突安全性の面でも不利になることなどから、2007年に生産終了となってしまいました。
続いては、その日産と提携している三菱が、かつて作っていたスポーツモデルたち。ラリーの世界選手権でも活躍したランサーエボリューションをはじめ、エクリプス、GTO、FTOといったロー&ワイドなスタリングのスポーツカーもリリースしてきました。とくに、映画『ワイルドスピード』に登場したエクリプスは、ビビッドなカラーと迫力の走りで話題沸騰。アメリカでも人気となったのでした。
しかし、ルノー、日産との提携を強めるにあたり、三菱ならではの四駆技術や電動化技術を生かしたモデル開発に特化するようになり、スポーツモデルの生産は終了。現在はアウトランダーPHEVをはじめとするSUVやミニバンがメインとなっていますが、いまなら電動化技術を組み合わせた最強のランサーエボリューションが作れるのでは? などと妄想するファンも根強く残っています。
次は、ホンダが1998年の創立50周年の記念モデルとして開発し、1999年に発売されたS2000を最後に、消滅してしまったホンダのFRスポーツモデル。S500以降、S600、S800と受け継がれてきた「S=SPORTS」のDNAを汲み、S2000はS800以来29年ぶりに復活したFRスポーツでした。高回転でまわるエンジンと軽くピーキーな走りは、多くのクルマ好きたちを熱狂させ、いまでも大事に乗り続けている人たちがたくさんいます。
ただ、もともとホンダには「MM思想」こと、マンマキシマム・メカミニマムといって人の空間は最大に、メカのスペースは最小にするという開発時の哲学があるため、やはりFFでスポーツモデルを開発することがホンダらしいという潮流も大きかったのです。2009年に生産終了したS2000ですが、その後も「新型が出るらしい」という噂が絶えないのは、いまでも復活を望むファンが多い証拠かもしれません。
ということで、自動車メーカーがやめてしまった技術や開発のなかで、とくにやめてほしくなかった、復活してほしい、という人が多いものをご紹介しました。