こんなんとても動かせない……ってのは昔のハナシ! 「いまのスーパーカーは誰でも走らせられる」とスーパーカー大王が語るワケ (2/2ページ)

イージードライブなスーパーカーの先駆けはフェラーリだった

 それは、1994年に発表されたF355である。フェラーリはこのF355でパワーステアリングを初めて標準装備化し(レスオプションでメカニカルステアリングを選択することもできた)、1997年にはクラッチとシフトのフォークをアクチュエーターで駆動する2ペダルのF1ミッション、正確にはフェラーリF1タイプ・ドライブトレイン・マネージメント仕様を追加設定しているのだ。

 F355に採用された初期のF1ミッションは、シフトダウン時には点火時期調整が行われるのみのシンプルなメカニズムだったが、それでもユーザーがクラッチ操作から解放され、コーナリング時にはステアリングとブレーキの操作のみに専念できるようになったのは偉大な進化といえたのである。

 そして、のちに同様のシステムは、スーパーカーの世界でスタンダードとなっていったことは誰もが知るとおりである。扱いやすいエンジン特性を与えたことや、さまざまな電子制御デバイスを与えてドライビングダイナミクスを追求してきたことも、近年のスーパーカーが運転しやすくなった理由のひとつだろう。

 ランボルギーニに至っては、駆動方式の基本は4WD。これならばさらに理想的な駆動力配分を4輪で行うことができるのだから魅力は大きい。

 スーパーカーはこれからますます乗りやすく、ラグジュアリーなプロダクトになっていくことだろう。そう確信させるだけのインプレッションを、現代のスーパーカーは必ずや感じさせてくれることは間違いない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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