メルセデスAMGが本気出すとこうなる! ポルシェ911のライバル「AMG GT」はスポーツカーの理想型だった (2/2ページ)

カスタマーを常に刺激し続けたメルセデスAMG GT

 キャビンは、航空機のそれから多くのインスピレーションを得てデザインされている。たとえばダッシュボードは横方向の広がりを強調したデザインだが、これは航空機の翼をイメージしたものだ。

 左右のシートはスポーツカーのそれらしく比較的薄めのクッションをもつものだが、バケットタイプのデザインでホールド性は素晴らしい。センターコンソール上のスイッチパネルはV型8気筒エンジンを意識したもので、これもまたカスタマーの心を躍らせる。

 フロントに搭載されるエンジンは、もちろんメルセデスAMGが自社開発した「M178」型。4リッターのV型8気筒ツインターボだ。ターボのシステムをVバンク内に収める「ホットインサイドV」のレイアウトを採る。

 最高出力はGT用が462馬力、GT S用は510馬力という数字で、これにリヤに配置される7速DCTを組み合わせる。それによって前後重量配分は47:53と最適化された。

 メルセデスAMG GTには、その後もさまざまなモデルが追加設定されていく。2017年にはGT Sからさらに75馬力のエクストラを得た「GT R」が、そして同年には北米市場などで圧倒的な人気を誇るオープン仕様の「GT ロードスター」が、さらに2020年には730馬力仕様の「GT ブラックシリーズ」や、サーキット走行専用車の「GT トラックシリーズ」もリリースされている。

 ほかにも魅力的な特別仕様車やレーシングカーなど、メルセデスAMGのGTシリーズはカスタマーを常に刺激し続けたのだ。

 そして2023年、メルセデスAMG GTはフルモデルチェンジを受けてセカンドジェネレーションへと進化を果たす。

 基本的なデザインコンセプトは初代GTのそれを受け継いでいるものの、ボディサイズはさらに大型化された。プラットフォームにメルセデス・ベンツSLのそれを使用しているのも技術的な大きな特徴だ。

 パワーユニットは「M139」型と呼ばれる2リッターの直列4気筒ターボエンジンに、BSG(ベルト・ドリブン・スターター・ジェネレーター)を組み合わせたものを、381馬力の最高出力で「GT 43」に、同エンジンを476馬力にチューニングアップしたものを「GT 55」に、そしてホットインサイドVレイアウトの4リッターV型8気筒ツインターボエンジンを588馬力で搭載する「GT 63」という3モデルが設定された。

 組み合わせられるミッションはいずれも9速DCT。駆動方式はGT 43がRWD、ほかの2モデルは4WDであるところが興味深い。ちなみに日本市場にはGT 43とGT 63の両モデルが正規輸入されている。

 メルセデスAMG GTのファミリーには、ほかに2018年にデビューしたEセグメントの4ドアスポーツカー、「GT 4ドアクーペ」も存在するが、こちらはまた別の機会に紹介することにしよう。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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