この記事をまとめると
■経産省は2030年度までにバイオエタノール混合比率10%のガソリンを供給すると発表した
■植物から精製された燃料のことをバイオエタノールという
■さまざまな技術によって二酸化炭素の総排出量を減らすことが大切だ
新時代燃料とその普及に必要なこと
経済産業省は先ごろ、2030年度までに、バイオエタノールの混合比率が10%のガソリン(E10)を供給すると発表した。2030年代の早期には、バイオエタノールの混合比率を20%に高めたガソリン(E20)の100%供給も検討されている。
バイオエタノールとは、トウモロコシなどの植物から精製された燃料のことだ。植物は育つ段階で二酸化炭素を吸収する光合成を行っており、とくにトウモロコシはこれを活発に行う。そのためにトウモロコシから燃料を精製すれば、エンジン内部での燃焼段階で二酸化炭素を発生させても、育つときの光合成によって相殺される。つまり二酸化炭素を排出したことにならない。藻から燃料を精製する技術も開発されている。藻も太陽光と二酸化炭素で育つため、燃焼時に排出されるに二酸化炭素は相殺される。
牛の糞尿からバイオガスを発生させ、燃料を精製する技術も注目される。牛は二酸化炭素を吸収して育ち、なおかつ牛の糞尿には、温室効果が二酸化炭素の28倍とされるメタンが含まれる。牛の糞尿を放置すれば、地球温暖化を大きく加速させてしまう。その牛の糞尿を使って燃料を精製すれば、地球温暖化を防ぐ効果も大きい。
さらに、水素と二酸化炭素を反応させて精製する合成燃料(eフューエル)についても、2030年代の前半に商品化することを目指している。ただし、合成燃料はコストが高く、実用化が困難とされる。
問題はこのコストだ。当たり前の話だが、合成燃料、バイオエタノールなども、コストが高いと使われない。補助金の投入も考えられるが、原資は税金だから、安易に頼ることはできない。
その一方でバイオエタノールや合成燃料のメリットは、先に述べたように従来のガソリンなどに混ぜて使えることだ。一度に燃料のすべてを刷新することは困難だが、混合燃料として使いながら、そこに含まれるバイオエタノールや合成燃料の比率を高めていくことは可能だ。暫くの間、混合燃料を進化させながら、燃料消費量の少ないハイブリッド車を走らせるような方法が求められる。
それと同時に電気自動車や燃料電池車も増やしていく。用途に応じて、さまざまな技術を併用しながら、二酸化炭素の総排出量を減らすことが大切だ。