シフトチェンジのたびに「プシュッ」っていうのがカッコよかったのよ! かつてターボ車で流行した「ブローオフバルブ」はドコいった?

この記事をまとめると

■ターボ車はかつて「プシュー!」という音を鳴らしていた

■音の発生源は「リサキュレーションバルブ」と「ブローオフバルブ」だ

■ドレスアップ程度の意味しかないが現在でも「ブローオフバルブ」は販売されている

「プシュー!」という音の発生源は?

 シフトチェンジのたびに「プシュー!」と咆哮を上げていた昔のターボチューン車たち。

 あの音がカッコよく、魅力的だったのに、最近めっきり聞かなくなった。と同時に、あの音の源泉「ブローオフバルブ(パーツ名)」のこともめっきり聞かなくなったけど、あれっていまはどうなっているの?

 じつはブローオフバルブはいまでも健在。ターボ車には全車、「リサキュレーションバルブ」という名称のパーツがついていて、これがブローオフバルブと同じ役割をしている。

 このブローオフバルブやリサキュレーションバルブがどんな役割をしているかというと、ターボ車で走行中にアクセルをオフにすると、スロットルが閉じられたことでターボチャージャーで加給され圧縮された空気が行き場を失ってしまう。この行き場を失った圧縮空気が余剰圧力となって、コンプレッサに逆流し、ターボ本体にストレスをかけ、再加速するときのレスポンス悪化の原因となる。

 そのバックオフしたときに余剰圧力を逃がすために開くバルブのことを、ブローオフバルブあるいはリサキュレーションバルブという。

 ではブローオフバルブとリサキュレーションバルブの違いは何かというと、ブローオフバルブは、逃がした余剰圧力を「プシュー!」という音とともに大気中に開放してしまうのが基本だが、リサキュレーションバルブはホースを通じてコンプレッサの前のサクションパイプへ過剰圧力を戻し、大気放出させない仕組みになっている。

 要は大気開放型か非開放型かの違いなわけだが、大気開放型のブローオフバルブが少数派になってしまった理由は、大気開放型だと保安基準をクリアできず、車検に通らなくなってしまうから。

 ターボから流れてきた圧縮空気はブローバイガスと呼ばれ、大気汚染の原因となる排気ガスが含まれている。これを大気に放出するのは当然NGなので、一度サクション側に戻し、触媒を通して浄化したうえで排出する必要がある。

 もっとも、現在でもチューニングメーカー各社から、ブローオフバルブは発売されていて、それらにはブローバイをサクションにリターンさせるための「リターンパーツキット」も用意されている。

 この「リターンパーツキット」を使えば、純正のリサキュレーションバルブと同じ扱いになり車検もOK。

 タービンを交換したり、ブーストアップした場合は、より容量に余裕があり、レスポンス向上も期待できる社外のブローオフバルブに交換するメリットがあるが、ノーマルのまま公道での走行を前提にするなら、社外品のブローオフバルブに交換するメリットは、エンジンルームのドレスアップぐらいしかないだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
趣味
-
好きな有名人
-

新着情報