この記事をまとめると
■軽自動車の規格は時代とともに変更されているが全高だけは変わっていない
■日本の軽自動車規格はこれまで何度も変更されている
■排ガス規制や衝突安全の対応のために規格が変更されてきた
軽自動車は時代とともにサイズアップ
日本特有の軽自動車は、1949年(昭和24年)に規格が定められた。車体の寸法は、全長×全幅×全高が2.8m×1m×2mで、現在の3.4m×1.48m×2mと比べ、はるかに小さかった。いまも変わらないのは、全高の2mだけだ。
ただ、実際に軽自動車として量産市販車が誕生するのは、1955年(昭和35年)のスズライトからとなる。それまでの間に、7度も規定内容の変更が行われた。
たとえば、当初はエンジン排気量が4ストロークは150cc、2ストロークは100ccだったのが、エンジン方式の区別にかかわらず360ccとなった。車体寸法も、全長3m、全幅1.3mに拡大されている。これにより、大人4人が乗れる車体寸法が確保された。
スズライトのあと、スバル360やホンダN360などが現れ、軽自動車が隆盛を極める。そして、この軽自動車規格が21年間も続いた。
次に規格変更が行われるのは1976年(昭和51年)で、エンジン排気量が550ccに拡大される。背景にあったのは、1970年からはじまった排出ガス規制だ。排気に含まれる有害物質の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)を、約1/10に減らす必要に迫られ、三元触媒などにより浄化が行われた。しかし、エンジン出力が落ちて満足な加速が得られにくくなった。それを補うため、排気量の増大が不可欠であった。
続いて、14年後の1990年に、車体全長が10cmだけ伸ばされた。さらに1998年にもう10cm全長が伸ばされ、あわせて全幅も8cm拡幅されることになった。いずれも、衝突安全のため、衝撃を吸収する空間を増やすのが目的だ。コンパティビリティといい、大きなクルマと小さなクルマが衝突しても、双方とも安全が確保されることが求められたからだ。
余談だが、1952年(昭和27年)には、軽自動車専用の運転免許証が制定され、16歳から運転できるようにしていた。しかし、1968年に廃止され、以後は登録車と同じ18歳からしかクルマを運転できなくなっている。