スペチアーレの系譜は現在に至るまで脈々と受け継がれている
続いて発表されたエンツォ・フェラーリは、フェラーリ設立55周年の2002年に誕生している。生産台数はF50と同様に349台と当初は発表されていたが、後に50台を追加し、合計で399台が生産された(さらにオークション用に1台が追加生産されている)。
55周年という節目は歴史的にそれなりの節目ではあるものの、世界中のファンを驚かせたのはそのネーミング。創始者の名前をそのまま用いたことで、次期モデルにはどのようなネーミングが採用されるのか。それは2013年までさまざまな憶測を呼ぶことになったのである。
それまで「F150プロジェクト」、あるいは「ニュー・エンツォ」などと呼ばれていたそのニューモデルに正式な名前が掲げられたのは、2013年のジュネーブショーでのことだった。
「ラ・フェラーリ」。Laとは英語のTheに相当する定冠詞であり、これもまたエンツォと同様の説得力を持つ名前だ。2016年にはオープン仕様のアペルタも発表されるが、初めてF1マシンからの技術導入である運動エネルギー回生システム(HY-KERS)を搭載するなど、メカニズム面でもその進化は大きな話題となった。
こちらも499台の限定生産に、オークション用の1台が特別に生産されている。また車名に歴史的な意味合いはない。
そして2024年に発表されたのがF80だ。車名のコンセプトはF50のそれと同じ、最後の1台は華々しくフェラーリが創立80周年を迎える2027年に、そのファクトリーから出荷されることになるだろう。
フェラーリのスペチアーレ。それはこれからも多くのカスタマーやファンの心を刺激して止まない存在であり続けるはずだ。