この記事をまとめると
■いま自動車業界からヤマハに注目が集まっている
■ヤマハブランドの音響システムが2020年から自動車メーカーに提供されている
■今後ヤマハの知見を活かした最新オーディオシステムの拡大が進んでいく
三菱アウトランダーPHEVにヤマハの音響システムが採用された
いま、「ヤマハ」に自動車産業の注目が集まっている。ヤマハといってもヤマハ発動機株式会社ではなく、楽器やオーディオ関連製品を手がけるヤマハ株式会社の「ヤマハ」だ。
日本では、三菱自動車が10月31日に発売を開始した、新型「アウトランダーPHEV」の全グレードにヤマハのオーディオシステムを搭載する。
ヤマハでは2020年から、ヤマハブランドのオーディオシステムを自動車メーカー向けに供給を始めた。三菱自動車については、タイなど東南アジアで人気の高いSUVモデル「エクスフォース」に採用済みだ。
今回の新型「アウトランダー」が、全メーカーで日本市場におけるヤマハブランドオーディオシステムの初採用となった。最上級グレードには12スピーカーの「ダイナミック・サウンド・ヤマハ・アルティメイト」を搭載する。
そのほかのグレードでは8スピーカーの「ダイナミック・サウンド・ヤマハ・プレミアム」を搭載し、オプションとして「同・アルティメイト」を設定した。
三菱自動車以外では、2023年9月に発売されたトヨタ新型「センチュリー」にヤマハ製のスピーカーユニットが採用されている。
また、海外メーカー向けでもヤマハの車載オーディオシステムの採用が今後、さらに進む可能性がある。
こうした、ヤマハの自動車産業への新たなる挑戦については、筆者は2023年の第1回ジャパンモビリティショーで、その可能性を強く意識していた。
ヤマハとヤマハ発動機が共同で展示ブースを設けるという、これまでになかったヤマハ全体としてのブランド発信を行っていたからだ。
一般的に「ヤマハ」と聞くと、ピアノやバイオリンなどの楽器、二輪車、そして船舶や水上バイクをイメージする人がほとんどだろう。一方で、法人向けとしては、産業用ロボットなどがあるのだが、一般的にはあまり知られていないだろう。
そのほか、時代を遡れば、1970年代から1980年代にかけて一世を風靡した音楽イベント「ヤマハポピュラーソングコンテスト」(通称:ポプコン)を思い出す人もいるかもしれない。
そうしたヤマハだが、四輪事業についてはトヨタ「2000GT」向けのエンジン開発や、F1エンジン開発があり、2010年代には英国企業との連携を模索した超小型車プロジェクト等があった。
時代は変わり、ADAS(先進的運転支援システム)、自動運転、コネクテッド、電動化、さらにはSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)など、自動車産業を取り巻く状況は大きく変化しているところだ。そのうえで、ヤマハとしては、車内空間の再定義という切り口で、ヤマハの知見を活かした最新オーディオシステムの拡大を目指しているように、筆者の目に映る。
「ヤマハ」のこれからに大いに期待したい。