正真正銘のGT-Rの頂点! NISMOが生んだたった19台の至宝R34 GT-R「Z-tune」は震えがくるほどの中身だった (2/2ページ)

徹底したマシンメイクによって19台がラインオフされた

Z-tuneのハイライトはエンジンや足まわりではなく、ハンドメイド製作のボディメイク。

 そのほか、レース直系のカーボンプロペラシャフトに大型の6ポット/4ポットのブレンボブレーキキット、ザックス製の3WAYサスペンションなど世界トップクラスのアイテムを惜しむことなく採用され、エアロパーツは専用のドライカーボン製で、サーキットの連続周回に耐えるためにミッション/デフのオイルクーラーも装着するなど、そのクオリティはレーシングカーに匹敵するものだった。

 Z-tuneのハイライトはエンジンや足まわりではなく、そのボディメイクにある。

 じつはZ-tuneのベースとなったのは中古車だ。これは、市販化の目途が立った2004年はすでにR34の生産が終了していたためで、やむなく走行3万㎞以下の吟味したアップルーブドカーで製作することにした。ただし、品質管理をされているとはいえ、中古車である以上、個体によって状態に差はあり、傷みも少なからずある。ボディ製作を委託された特殊車両の製作を得意とする「高田工業」はボディ補強だけでなく、クオリティをすべて均一化することも求められた。

 一旦ホワイトボディまでばらし、清掃、修正、磨きを1台1台手作業で行いリフレッシュ。その後、スポット増しの工程に進むが、塗装済みのボディはパネルの合わせ目にも塗料が入り込んでいるので、そのまま溶接しても通電しない。試行錯誤の末、まずは低電流で合わせ目の塗装を焼き、次に高電流で通電させて強度を高める2度打ちを採用。合わさるパネル枚数の違いは電流値を変えることで、均一な強度を実現したという。

国産市販車初のカーボンファイバー強化樹脂によるパネル補強も投入された

 また、CFRP(カーボンファイバー強化樹脂)のパネルを使ったボディ補強を国産市販車として初採用。フロアトンネルと、ストラットタワー周辺、合計5カ所に接着&リベット止めで装着された。これは「S耐やニュルといったレーシングカーの技術をお客さまに提供する」といったポリシーの具現化である。また、パネルとボディに隙間があると剛性が出ないため、そのクリアランスは2mm以下に抑えられ、フィッティング性を高めるための細かい調整が必要だった。

 その後、生産車とほぼ同じ防錆処理を施し、専用のZ-tuneシルバーに再塗装。最後にパーツを組み上げて完成する。すべてがほぼハンドメイドで、最後まで熟練のメカニックが妥協することなく、仕上げている。Z-tuneには至高のGT-Rを手にする優越感、満足感だけでなく、手にしたオーナーの気もちに応えたいという匠たちの真心も込められている。

 販売価格は1690万円(税込1774万5000円)だが、その製作プロセスや使用されているパーツなど知れば、決して法外ではないことが理解できるだろう。仮に今、オークションに出品されたら落札価格は数億円規模になることは間違いない。だが、最強にして最上のR34GT-Rを手に入れた19人の幸運なるコレクターはこのクルマを手放すことは決してしないだろう。


新着情報