この記事をまとめると
■逆走の原因は複雑な道路形状の増加とドライバーの高齢化が原因だ
■逆走している側は正しい車線を走っている認識を持っているので右車線を走りがちだ
■「かもしれない運転」をすることで衝突のリスクを回避できる
逆走が起こるのは複雑な道路形状に原因あり
最近は高速道路などにおける逆走のニュースが頻繁に報道される。逆走によるトラブルは2日に1回ともいわれるが、実際には事故に至らず検知もされない逆走もあるから、さらに多く発生していると見られる。
逆走が生じる理由は大きくわけてふたつある。まずは認知機能が低下する高齢ドライバーの増加だ。日本の運転免許の保有者は、1955年には378万人だったが、20年後の1975年には9倍の3348万人に増えていた。この背景には、第二次世界大戦直後のベビーブームで生まれた膨大な団塊の世代による運転免許の取得があった。団塊の世代は1947年から1949年ごろに生まれ、クルマを積極的に購入して普及を促した。活発に働いて、40代のころにはバブル経済期も牽引している。
この団塊の世代がいまは70代の中盤から後半に差しかかり、それよりも少し上の世代は80代に達している。いまの日本は、かつて経験したことのない「高齢ドライバー時代」を迎えて逆走事故の原因にもなっている。逆走以外でも、店舗に突っ込むといった高齢ドライバーによる交通事故が増えている。
逆走のふたつ目の理由は、道路形状が複雑な高速道路やバイパスが増えたことだ。読者の皆さんも、入口を間違えて逆走する心配のある道路をいくつかご存じだろう。昔の道路は直線とカーブと交差点のみだったが、いまは道路が立体的に交わってインターチェンジも増えたから、逆走を誘発する要素も多い。
そして、認知機能の低下した高齢ドライバーが、このような複雑な形状の道路に乗り入れると、出口から進入して逆走する危険が生じやすい。