やっぱりスープラといえばA70だろ! 国会議員も熱くした初代スープラは名車そのもの!! (2/2ページ)

多彩なバリエーションが用意されていた

 じつはスープラという名前は北米市場で以前から使われているものであり、すなわち同モデルの主戦場は北米であった。彼の地におけるスポーツカーへのニーズはストイックなものではなく、もっとカジュアルに楽しんでいるのはご存じのとおり。

 その象徴といえるのがルーフパネルを取り外してオープンドライブが楽しめるタルガトップで、ポルシェ911やシボレー・コルベットなどでお馴染みだろう。初代NSXにもタルガ仕様は設定されていたほど、北米で販売するには必須アイテムだったといえる。

 当然ながら初代スープラにも「エアロトップ」と呼ばれるタルガトップ仕様がラインアップされていた。いまであれば最上級グレードにしか設定がなくても不思議ではないが、当時はワイドボディだけでなく、ナローボディでもエアロトップが選べるようになっていた。前述したエンジンの豊富さと合わせて、本当にさまざまなスープラが街なかを走っていたのが1980年代だったのだ。

 前述した3ナンバーの高額税制は、1989年(平成元年)より改正され、排気量によって決定されることになり、実質的にボディサイズによる自動車税への影響はなくなった。これにより2リッターエンジンとワイドボディの組み合わせも誕生している。

 1990年には当時の自主規制である280馬力を発生した2.5リッターDOHCツインターボを搭載したグレードも誕生。スペック的には、これが初代スープラの最強グレードとなる。

 しかしながら、初代スープラにおいて伝説的グレードとなっているのは、1988年に誕生した「ターボA」だろう。名前に使われた“A”はグループAのホモロゲーションモデルであることを示すものであり、全日本ツーリングカー選手権へ参戦するために500台限定で生産された特別なグレードだ。

 エンジンは270馬力にパワーアップされた3リッターDOHCターボで、ハイパワー化に対応してフロントバンパー中央に3連ダクトが新設されたのが外観でのチャームポイント。この通称「ターボAダクト」を真似たカスタマイズが、スープラファンの間では定番となったのはいうまでもないだろう。なお、同タイミングでスタンダードな3リッターターボは240馬力となっている。

 まとめると、初代スープラには、ナローとワイドのふたつのボディがあり、それぞれにタルガ仕様の「エアロトップ」が用意されていた。エンジンは、2リッターSOHC、2リッターDOHCのNAエンジンがあり、2リッターと2.5リッターのツインターボ、そして3リッターターボが最高峰に位置づけられていた。スペック違いで数えると10種類以上のエンジンが用意されていたほどだ。本当に選択肢が豊富で、当時のトヨタらしい“かゆいところに手が届く”グレード構成のスポーツフラッグシップモデルといえるだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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