ボディは汚れてないのにホイールだけ真っ黒になるのはなぜ? クルマ好きを悩ませる「ブレーキダスト」の正体とは (2/2ページ)

リヤブレーキのダストは横滑り防止装置のせい?

 ところで、ブレーキダストを減らすためにドライバーができることは、「不要なブレーキを踏まないこと」といえる。こう書くと「ブレーキを使わないと危ないだろう」、と誤解されるかもしれないが、そういう話ではない。無駄に加減速をせず、先読みした速度コントロールをすることでブレーキを使って減速するシチュエーションを減らすことは、ドライバーの腕で可能だ。そうして無駄なブレーキを踏まないようにすれば、ブレーキダストの発生を抑えることができるだろう。

 ただし、最近のクルマにはブレーキを使って車両の姿勢を制御するESC(横滑り防止装置)の装備が義務化されている。ESCの姿勢コントロールでは、ドライバーがブレーキを使っていなくともブレーキを作動させている。結果として、意図しないブレーキダストが発生しているのだ。

 ESCのヨーコントロールではリヤブレーキを使うことが多い。ドライバーが、アクセルオフで速度を合わせてコーナリングしているつもりでも、車両側のリヤブレーキが作動して、消耗(ダストを発生)していることは珍しくない。

 そういう前提で最近のクルマを見るようにすると、FF車でリヤ荷重が少ないクルマであっても、リヤホイールがブレーキダストで汚れているケースがあることに気付くだろう。

 そうしたダストのすべてがESC由来であるとはいわないが、ESCが普及して以降はリヤブレーキの負担が大きいというのはメーカーのエンジニアも認めている事実だったりする。ブレーキダストを減らす運転の要件として「ESCを作動させないこと」も含まれるかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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