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ボディは汚れてないのにホイールだけ真っ黒になるのはなぜ? クルマ好きを悩ませる「ブレーキダスト」の正体とは (2/2ページ)

ボディは汚れてないのにホイールだけ真っ黒になるのはなぜ? クルマ好きを悩ませる「ブレーキダスト」の正体とは

この記事をまとめると

■欧州車のホイールが黒く汚れる主な要因はブレーキダスト

■欧州車がやわらかめのブレーキディスクやパッドを採用しているのが原因

■最近のクルマはESCの介入でリヤホイールを汚しているケースが目立つ

欧州車のブレーキダストはどうして出やすい?

 伝統的に、輸入車のホイール汚い問題は深刻だ。「洗っても洗っても全然綺麗にならんぞ!」と、 もはや諦めモードに入って洗ってない人すらいるらしい。

 とくにドイツ車やフランス車など、欧州系モデルで目立つホイールの黒っぽい汚れの原因は、ご存じのように「ブレーキダスト」だ。ブレーキのダスト(ごみ)という名前がついているが、ブレーキが摩擦材を消耗品として利用している限り、必然的に発生してしまうものであり、その発生は避けられない。

 構造的にブレーキシステムが開放しているディスクタイプでは、ブレーキダストが発生したらそのままホイールに付着してしまう。つまり、ホイールが黒く汚れてしまうのはブレーキがしっかり働いている証拠ともいえる。ちなみに、ドラムブレーキでは内部にダストが溜まっていくので定期的な分解清掃が必要だったりする。

 しかしながら、ディスクブレーキを採用しているメーカーや車種は特別なわけではない。欧州車でなくとも国産車であっても、少なくとも乗用車についてはディスクブレーキを採用していることはスタンダードといえる。では、なぜ輸入車(欧州車)のホイールはブレーキダストで汚れていると強くイメージされているのだろうか。

 ただし、筆者は輸入車のホイールが国産車に比べてどのくらい汚れやすいのかを定量化したような統計は見たことがない。なのでここでは、あくまで市場イメージとして輸入車(欧州車)のブレーキダストが多いであろうと想定して話を進めてみたい。

 基本的にブレーキダストは、ブレーキディスクとブレーキパッドの削りカスからなっている。ブレーキダストが多いというのであれば、ディスクとパッドが削れやすい材質で出来ていることが想定できる。そして、鉛筆の減りやすさで想像すればわかりやすいが、やわらかい材質ほど削れやすい傾向にあるといえる。

 これまた仮説の範囲ではあるが、欧州車のブレーキダストが多いのであれば、削れやすい、やわらかめのブレーキディスクやパッドを使っていると想定できる。

 巷間では、「やわらかいブレーキディスクやパッド≒利きがいいブレーキ」と認識されている面もあるが、それは必ずしも正しいとはいえない面もある。

 ブレーキダストの多い欧州車オーナーのなかには、アフターパーツとして販売されている低ダストタイプのブレーキパッドに変えて対策することもある。そして、低ダストのブレーキパッドだから利きが悪いわけではない。車種によっては純正のブレーキパッドよりダストが少なくなり、なおかつ利きがよくなるケースもある。

 つまり、ブレーキとしての絶対性能に優れているからダストが多いのも仕方がない……といい切れないということだ。利きがよくてダストの少ないブレーキパッドを開発するという企業努力が足りないという見方もできるだろう。

 もっとも、ブレーキディスクやパッドをやわらかめにすることでブレーキフィールがよくなる面もある。具体的には、踏み込んだときに「奥でのコントロール性」が向上する。その意味では、フィーリング重視でダストの多さは甘んじて受け入れているというのが欧州車の自動車作りにおけるアプローチといえるのかもしれない。

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