トラックとしての実用性は確実に悪化! それでもトラック野郎がデコトラにハマるワケ (2/2ページ)

デコトラの存在感は見る者を虜にする

 フロントバンパーを例に挙げると、鉄で製作したものにメッキをかけるという本格的なものであれば、製作費200万円オーバーも珍しいものではない。そのほとんどが技術料だといっても過言ではないのだが、それほどまでにお金がかかってしまうのだ。実際に、数千万円を注ぎ込んだというデコトラも存在するのである。

 鉄やステンレスで製作した飾りを取り付けると、当然のことながらそのぶんだけ車重が嵩む。フロントバンパーともなればひとりでもち上げることもできないため、フレームにはそれを取り付けるための屈強なステーも必要となってくる。このステーもステンレスや鉄などで製作するために、また重さがプラスされるのだ。そういった大きなパーツは空気抵抗も受けやすいため、燃費が悪くなるのは当然の話。外装に大きなパーツを取り付けることが多いデコトラは、洗車やメンテナンス性にも支障が出るほど大変な世界なのである。

 それなのに、なぜ愛好家たちはデコトラにのめり込んでしまうのか。その理由は数多く存在するとは思うが、一度見たら忘れられないほどのインパクトや存在感が、とくに影響しているのではないかと考えられる。派手な飾りや絵で目立つ昼の姿に刺激された人、また艶やかな電飾を灯した夜の姿に魅せられた人……。

 そんな見せ場をもつデコトラは、見る者を虜にする力を秘めている。そして、その魅力の源泉は、デコトラが日本で生まれた特有の文化ということにあるのかもしれない。

 日本で生まれ、日本で発展してきたデコトラ文化は、日本人の好みに合った内容であるということは、考えるまでもない。そんなデコトラに魅力を難じることは不思議なものではなく、むしろ正常な日本人の証であるとさえいえる。和食が合わない日本人のほうが珍しいのと同じように、デコトラが合わない日本人のほうが少数派なのだろう。だからこそ胸を張り、これからもデコトラの素晴らしさを世界に発信し続けていただきたいと思う。


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