レース無線の「タイヤを温存」のテクは市販車でも有効! 応用すればタイヤの寿命が延びる!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■レースにおける「タイヤを温存」という意味は「タイヤの負担を減らす」ことを指す

■タイヤに負荷をかけない走り方は一般車にも必要とされる

■新品のタイヤは慣らし走行をしてその後は急がつく操作は避けることが大切

タイヤを「温存」ってどういうこと?

 レースの中継を観ていると、ピットからドライバーに「タイヤを温存して」との指示が飛ぶことが結構ある。

 レースにおけるタイヤの使い方は難しく、速く走るためにはタイヤの性能=グリップ力を最大限引き出す必要があるが、タイヤの性能をフルに使うと、タイヤの温度がオーバーヒート気味になり、性能が低下したり、摩耗が進んで性能劣化が出てきたり、トレッドの表面がささくれてきて、いわゆるグレイニングが発生したりする。

 これら、走行によるタイヤのパフォーマンス低下のことを、デグラデーションと呼ぶが、人より速いペースで走りながら、なおかつこのデグラデーションが小さいドライバーが理想なドライバーなわけで、チームとしてはゴールまで、あるいは予定周回数より前に、タイヤの著しい性能劣化が起きないよう、ペースとタイヤの損耗具合に目を光らせていて、「このままではタイヤが予定よりもたない」と判断したとき、無線で「タイヤを温存して」とドライバーに伝えている。

 こうした指示を受けたドライバーは、フロントタイヤの負担が大きければ、ターンインの際のブレーキングとステアリングのオーバーラップを減らしたり、V字に近いラインどりに変えて旋回時間を短くしたり、反対にトラクションが厳しくなってきたら、旋回時間を長めにとるラインで、縦方向のグリップ力より横方向のグリップをより多く使う走り方に変えたり、前後のブレーキバランスを調整したり、デフの利き具合を変更したりして、タイヤへの負担のかかり方を工夫していく。

 ほかにも、アクセルの踏み方を丁寧にしたり、ブレーキの踏み方、戻し方を調整するもの大事だし、空力マシンであれば、前車との空間を作って、できるだけクリーンエアのなかを走るようにするのもポイントになるし、ペースを落とすことも含まれる。

 要は「タイヤを長もちさせなさい」というオーダーなのだが、こうしたレーシングドライバーが行っているタイヤ温存策のなかで、我々が市販車で公道を走るときにも応用できる方法がいくつかある。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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