高速道路を走るトラックの速度が上がった
まずは、ダブル連結トラックが増えたことに驚かされた。大型トラックの世界にはたくさんの荷物を運ぶことができるトレーラーが存在するが、トレーラーとは運転席を含む牽引車両であるトラクタと、荷物を積む荷台部分、いわゆるトレーラー部分が別個体であり、そのふたつが組み合わさったものを指す言葉。そしてダブル連結トラックは、構造自体はトレーラーとさほど変わらない。異なる部分は、牽引車両にも荷物を積み込む荷台が存在するというところ。つまり、普通の大型トラックに荷台部分のみを連結させて走るような、大型トラックとトレーラーを組み合わせたような存在である。
それゆえに、一度に運べる荷物の量は大幅に増える。それはもちろん、運送会社側の対策なのだろう。労働時間の短縮によりドライバー不足が避けられないため、新たな車両を導入してまで2024年問題と向き合わざるをえないのだ。
そして、もうひとつ大きな異変を感じた。それは、大手運送会社の大型トラックが、以前より速度を上げて走っているのである。これまでは会社の規則で、高速道路の最高速度は時速80kmと決められており、わずかでも超過すればドライバーにペナルティを課していたはずの大手運送会社の大型トラックたちが、軒並み90km/hで走行していたのである。
ほとんどの大型トラックが時速90km/hで走行するようになったことは、正直ありがたいところである。大型トラックが追い越し車線に移るという行為が、物理的に少なくなるためだ。それにより、高速道路の流れそのものはよくなるに違いない。
しかし、ドライバーとしては意見がわかれることだろう。これまで80km/hで走行することに慣れていたトラックドライバーが、突然90km/hで走れといわれても対応できるだろうか。追い越されることが多かったにもかかわらず、突如として追い越す側になってしまうのだから、それによって受けるであろう精神的疲労には同情せざるをえない。速度が上がるぶん事故による被害も大きくなってしまうため、より危険な状況になっているのは述べるまでもない。
これももちろん、2024年問題が産み出した結果だろう。時間外労働ができなくなったことで、結局はドライバーに負担がかかる結果となっているのだ。それでいて以前より稼げなくなるのだから、まさに本末転倒な愚策だったといわざるをえないだろう。
物流の世界は、わたしたちの暮らしと密な関係にある。それだけに、トラックドライバーの苦難は他人事では済まされない。是が非でも、改善を望みたいところである。