かつてセリカでWRCを制した「オリオール66歳」がGRヤリスでラリージャパンに参戦! 衰え知らずの腕でまさかのクラス優勝を果たす (2/2ページ)

ナショナル部門でトップを獲得

 オリオールの最大のライバルは、スバルWRX S4を駆る新井敏弘で、新井も「オリオールは上手いと思うし、GRヤリスも軽いからナショナル部門で勝つのは簡単じゃない」と語っていた。事実、豊田スタジアムを舞台にしたSS1こそ、オリオールはナショナル部門の8番手タイムにとどまったが、SS2で2番手タイムをマークすると、その後は5回のSSウインを獲得し、デイ2をナショナル部門のトップでフィニッシュ。

 最大のライバルである新井敏弘がリタイヤしたことも影響したのだろう。デイ3でのSSウインは1回のみだったが、それでもポジションをキープし、デイ4では余裕のクルージングを披露。最終的にオリオールは総合19位で完走を果たし、ナショナル部門で勝利を獲得した。

 フィット・イージー・レーシングでオリオール車のチーフメカニックを担当した熊崎大介は、「たぶん、ライン取りが日本人ドライバーと違うんでしょうね。ホイールを見ると、裏も表もかなり上の部分まで傷がついているので、しっかり溝にタイヤを落としているんですけど、かといって足まわりを壊すわけではないので、オリオールはその辺りのバランスがうまいんだと思います」とのこと。

 さらに「アライメントも特殊で、トーはイン方向、キャンバーもほとんど付けていない状態です。たぶん、うまく荷重をかけて曲がっているんだと思います」と印象を付け加える。

 また、2018年のAPRCでチャンピオンに輝いた経験を持つフィット・イージー・レーシングのチームマネージャー炭山裕矢も、「テストで同乗しましたが、やっぱり基本的なドライビングがピカイチです。普通なら66歳になると、いろんなことが衰えてくると思うんですけど、ドライビングも現役ですし、気力も“参戦するからにはクラス優勝をしたい”とモチベーションも高かったので、やっぱりすごいと思います」と語っている。

 まさにオリオールは“超人”のレベルで、ラリー界におけるレジェンドドライバーだといえるだろう。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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