歴代クラウンで一番デザインがいいのはどれ? デザインのプロが選んだ1台とは! (2/2ページ)

歴代屈指の均整のとれたデザイン

●高級感とスポーティさを高次元で融合

 一方、「書の勢い」をテーマにしたサイドビューは、フェンダーから始まる強い張りのショルダーラインが、これまた高い安定感と力強さを表現。リヤビューは、サイドにまわり込んだ台形のテールランプが抑制の利いた動感を表現しています。

 また、当時はトヨタのインテリアデザインが絶好調の時期で、作り込みのよさと巧みな色使いにより、豪華さと先進感がじつに巧く融合した内装になっています。この時期は、ニュー・センチュリー・バリューを謳ったカローラなども同様に秀逸でした。

 そして、こうしたスポーティさや力強さを織り込んだボディが、極めてシンプルにまとまっていることがキモです。プレスドアなどは使っていませんが、非常に高いカタマリ感もあって、360度どこから見ても破綻がありません。

 これは、さらなるスポーティ路線を狙い「CROWN Re BORN」を掲げた14代目が、派手なグリルやキャラクターライン、ピンク色の設定など、基本を疎かにしてしまったこととじつに対照的であり、カーデザインの奥深さを物語っているところです。

●記念碑的なふたつのモデル

 さて、今回はベストデザインとはしませんでしたが、クラウンのデザインを語るとき、1983年発売の7代目にも触れておいたほうがいいかもしれません。バブル景気前夜、流行の4ドアハードトップを採用した煌びやかなボディは、特徴的なクリスタル・ピラーも相まって、時代を象徴するスタイリングを提示しました。

 まあ、いってみれば「売れるデザイン」ですが、それはそれで評価するべきでしょう。なにより、「いつかはクラウン」でヒットした同車ですが、そのゴールをひっくり返したのが今回の12代目だったという点が、皮肉というかじつに面白いところなのです。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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