全米のスクールバスをEV化するために7700億円! バイデン政権が取り組んだプロジェクトはトランプへの政権交代でどうなる? (2/2ページ)

政権交代によって政策がどうなるのかが焦点

 こうした「グリーン・スクールバス・プロジェクト」の概要を見ていて、大きくふたつの視点で将来に向けた不透明さを感じる。

 ひとつは、オバマ政権で実施されたグリーン・ニューディール政策における苦い体験だ。当時、DOE(連邦エネルギー省)が数兆円単位の予算を組んで、次世代バッテリー、太陽光パネル、そして次世代EVトラックなど向けに助成金をばらまいた。

 そうした現場を全米各地で取材したが、いくつかの企業は事業基盤が脆弱であるにもかかわらず数十億円から数百億円規模の助成を受け取っていた。あるEVトラックのスタートアップ経営者は当時、「助成金の申請手続きは簡素で、すぐに助成金が振り込まれた」と満面の笑顔だったことを思い出す。それから数年後、その企業は跡形もなく消えてしまった……。

 今回のスクールバスに対する助成も、学校だけではなく、車両メーカーや車両販売店を介しても申請可能なようだ。オバマ政権の二の舞になってほしくない。

 もうひとつは、当然のことだが、トランプ政権に移行したあとの同法案に対する扱いだ。途中で打ち切りになるのか、それとも2022年以降の実績を精査した上で助成金を減額するのかなど、さまざまなケースが考えられるのではないだろうか。

 いずれにしても、環境対応として既販車をBEVに置き換えるという発想において、公用車やスクールバスのような公的な役割のあるクルマから手を付けるのは、至極無難な考え方ではある。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
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動物たちとのふれあい
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