この記事をまとめると
■1980年代の走り屋に愛された「ワンダーシビック」と「AE86 レビン/トレノ」
■どちらも安価で購入でき、軽量コンパクトなボディでストリートを中心に愛された
■レースシーンでも活躍した2台は、それぞれ甲乙つけがたい個性的な魅力を備えていた
1980年代の若者を沸かせた走りのマシン
クルマ好きが集えば、「フェラーリとランボ、どっちが好き?」とか、「ライトウェイトか大排気量どちらが有利か?」などなど、喧々囂々(けんけんごうごう)とやっていると夜も明けてしまうほど話題には事欠きません。
そんなテーマのひとつのなかに「ワンダーシビックか、それともハチロクか?」という昭和のクルマ好きなら一度は頭に浮かんだものがあります。FFホットハッチ(この呼び方も昭和感マシマシw)か、ドリフト好き御用達の伝説的FRマシンなのか、1980年代当時の若者をワクワクさせたのはいったいどちらだったのでしょう。
ワンダーシビック(シビックSi AT型:1984)とハチロク(レビン/トレノ AE86型:1983)ともに1980年代の若者にとって忘れがたい存在。そればかりか、マンガやアニメにたびたび登場してきたことで、昭和どころか令和の若者にすら有名なモデルとなっていること、ご承知のとおりかと。
かたやFFのコンパクトなハッチバックモデルに、F1直系のエンジニアリングをこれでもかと投入し、最速ホットハッチの名をほしいままに。こなたは優秀なFRシャシーとレスポンスに優れたツインカムエンジンを搭載し、峠はもちろん、のちにはドリフト族のトップランナーに君臨。
むろん、マンガやアニメ、はたまたゲームに登場する際もそれぞれのパフォーマンスやキャラクターが存分に描き出されただけでなく、フィクションらしく「おいおい、そんなにすごかったっけ!?」と目を丸くするようなシーンまであったかと。
たとえば、ワンダーシビックは実際にも環状線の「ルーレット族」なる呼び名まで頂戴していましたが、その走りは車線と車線をあたかも瞬間移動しているかのような俊敏さ。
加えて、ラテラルロッドをビームアクスルで連携させるという凝りまくったリヤサスの追従性の素晴らしさといったら、フィクションを通り越してもはや神話レベルに達するもの(笑)。
ハチロクについても同様で、パワーに劣るぶんだけ下りの峠で勝負するとか、前後バランスのよさ、すなわちコントロール性に優れたアドバンテージを活かしたアクロバティックな走りは筆者自身も胸が高まった記憶あり。
また、ツインカムエンジンのチューニングについてもこと細かに伝えられ、ポート研磨だの、摺動部品のバランス取りなんて言葉を覚えたのも豆腐屋のクルマだったような(笑)。