建機は基本シングルシーター! それがゆえに乗用車よりも「操縦・作業」の自動化が大切だった

この記事をまとめると

■建設機械の多くはシングルシーターとなっている

■建設機械は土木や建築の分野を支える縁の下の力もちだ

■加藤製作所から2種類のモデルが新たに登場した

2台のアンサングヒーローが登場!

「シングルシーター」といえば、一般にはF1などで活躍するフォーミュラカーのようなものを指すが「ひとつのシート」という意味であれば、建設機械も多くは「シングルシーター」といえる。フォーミュラカーのような派手さこそないが、土木、建築の分野で世のなかをしっかりと支える、縁の下の力もち的な存在なのである。

 そんなアンサングヒーローが、加藤製作所から新たに2台誕生した。ラフテレーンクレーンの「SL-500RfIII」と、油圧ショベルの「REGZAM HD823MR-8」だ。どちらも大型の機種であり、環境性や操作性、経済性に優れた、最新技術満載の建設機械である。2024年問題に端を発するオペレーター不足にも配慮して、労働環境改善の視点からも改良が加えられた。

「SL-500RfIII」は、ヨーロッパの「Stage V」という最新の排出ガス規制に適合した新型エンジンを搭載。同エンジンは、アメリカのエンジンメーカー「カミンズ」が開発したものだ。国土交通省の「低騒音型建設機械」の指定を受けただけではなく、「2020年燃費基準達成建設機械」の認定取得を予定している。これは、地球環境に配慮したということにほかならない。

 クレーン操作時のエンジン最大回転数を抑えて、燃料消費と騒音の少ない最適な作業回転数に調整する「ECOスイッチ」を搭載。また、クレーン作業待機時には油圧ポンプ吐出量を最小限に制御。これらにより、クレーン作業時の燃費も向上させている。ブーム伸縮モードは、強度域性能に適したタイプと安定域性能に適したタイプの2種類を設定。これにより、作業状況に合わせた柔軟な対応が可能になり、操作性、作業性が向上した。

 安全装置としては、
・超音波センサーによる障害物検知機能(クリアランスソナーシステム)
・オペレーターが設定した複数の画像を表示する12.1インチ縦型大画面モニター
・車両まわりに装着した6つのカメラの画像を合成し、車両上面から俯瞰した画像を走行時やクレーン作業時に、表示するサラウンドビューシステム
・カメラにより人を検知したとき、視覚的・聴覚的な警告により注意を喚起する人検知アシストカメラ
などが採用されている。

「REGZAM HD823MR-8」のエンジンも、環境に配慮された1台である。「特定特殊自動車排出ガス規制2014年基準」に加えてStage Vにも適合。さらに「燃費基準達成建設機械認定制度」における2020年燃費基準の100%達成の認定を取得し、「超低騒音型建設機械」の指定も申請中だ。

 排出ガス後処理ユニットを搭載したことで、効率的にDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター。粒子状物質[PM]を取り除くフィルター)内に堆積したPMを燃焼、再生化し、DPFのメンテナンスサイクルの延長やメンテナンスの負担を軽減。また、新型ラジエターの採用に合わせたエンジンのレイアウトを変更し、ヒートバランス性能を向上させたことで、冷却水量・作動油量を低減してメンテナンスコストを削減している。さらに、燃料タンクドレンのレイアウト変更や、サイドカバーネットを新規に設定するなどして、整備性の向上もはかっているのだ。

 これらの建設機械は「シングルシーター」であることからもわかるように、オペレーションの効率化が強く求められている。いい換えれば、操縦・作業を含めて、車両にかかわることの多くは、オペレーターがひとりで担わなければならないということだ。今後はAI化や自動化が推進され、さらに進化した建設機械が登場することになるのだろう。


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