移動式「火葬車」が増えているが問題も! 大切な家族である「ペット」の葬儀のいま (2/2ページ)

湯灌ができる車両も製造されている

 火葬炉の製造は、さまざまなメーカーがあってそれぞれ特徴をもっているが、灯油を燃料として使用するタイプがほとんどだ。ペットを火葬すること自体には、前述のとおり特段法律の規制を受けるわけではないものの、環境面ではダイオキシンなど排気が環境に与える影響や、火災、破裂などといった防災面については、一般的な法規制の対象になる。ただ、これらは問題発生時に取り締まり、罰則を受ける場合がほとんどなので、事業者には高いモラルが求められることになるのだ。

 実際に、ペット火葬車の登場以降には、利用者との間でさまざまなトラブルが発生したことが報じられている。法的規制が追い付いていないことや、無店舗サービスで開業資金が少なくて済むことなどから、一部の心無い事業者が無責任な運営を行っている例もあるようだ。ペット葬儀業界でもこのことを憂慮し、業界団体を設立してサービス基準の均一化と、モラル向上を目指している。

 また、行政も国の法整備の遅れをカバーするために、各自治体が地域事情に合わせた条例による規制を進めている。自治体条例の場合、営業の許可基準や申請方法が統一されないために、広域で営業を行う事業者にとっては煩雑になるが、消費者が安心して利用できるサービスとして定着するためには、ある程度やむを得ないことといえるだろう。

 現在はペット火葬車だけではなく、ペット葬儀の一環としてペットの湯灌ができる車両も製造されている。これは小型トラックに作業場として拡張型(作業をする際にボックスを上に伸ばす)のボックスを搭載し、そのなかで湯灌作業が行えるようになっているものだ。ボックス内にはシンク型の作業台があり、電動ポンプでシャワーを扱えるようになっている。

 火葬・湯灌の作業員にペットロスをケアする民間資格を取らせている事業者も多く、ペットの葬儀がパッケージ化されてひとつの市場を確立しつつあるようだ。大切な家族の一員であるペットの供養をしたいという思いと、経済的な負担軽減を両立させるためには、このような移動式ペット火葬・湯灌車輌を利用した事業が、有効であることは間違いないだろう。


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