この記事をまとめると
■「さんふらわあ」の現在について解説
■九州から北海道までをカバーするフェリー便として活躍している
■モーダルシフトにおいて今後さらに重要な役割を担う可能性も
いまも人々の生活を支えている!
昭和の人たちには、さんふらわあのTVCMを覚えている方も多いことだろう。「さんふらわぁ~♪」と歌う独自のCMソングとともに、空撮したフェリーに太陽が大きく描かれている映像を思い浮かべる人も少なくないのではないだろうか。この「さんふらわあ」。最近でこそCMは目にしないが、九州から北海道まで広くカバーするフェリー便として、いまなお活躍しているのだ。しかも、物流の効率化を図るモーダルシフトの一端を担う存在として、これからますます重要な役割を担う可能性が出てきた。
モーダルシフトとは、単一の輸送機関だけで輸送するのではなく、他の輸送機関を組み合わせて貨物輸送をすること。鉄道や船舶はトラックより輸送時のCO2排出が少ない。つまり、輸送コストも環境負荷も小さくできるのだ。鉄道はその名のとおり鉄のレールと車輪を使っているから転がり抵抗が少なく、信号によるゴーストップもないし、EVと同じく電動なのでエネルギー効率に優れる。
船舶による海上輸送は重い荷物も水に浮かべた状態で運ぶので、やはり効率がいいのだ。ちなみに東京~博多間をトラックと海上輸送でCO2の排出量を比べると75%も船舶による海上輸送のほうが少ない。これは大量輸送できるということも影響している。
問題は鉄道や船舶はトラックよりゆっくり動くので時間がかかることと、最終的な目的地までは運べないことだ。しかし、一度動き出したら昼夜問わず進むので意外と到着は早い。船舶の場合はトラックごと積めばドライバーは休憩しながら輸送することができる。
鉄道も船舶利用もトラックは経由地まで運べばいいから、輸送距離が少ないので日帰りで仕事をこなすことが可能になるのだ。さらに、トレーラーだけを積み込んで運ぶことで、ドライバーの移動距離や時間を減らす使い方をし始めているトラック事業者も増えている。
そんなカーフェリーのメリットをアピールするべく、ジャパントラックショー2024では、さんふらわあもパネル展示ながらブースを展開していたのだ。さんふらわあを運営する「商船三井さんふらわあ」では、自前のトレーラーを1450台も所有しており、トラック事業者と同様に荷主の元へ荷物を積みに行き、荷受け人のところまで届けるサービスも展開しているのだ。
それに加えて最近はLNG(液化天然ガス)を燃料にしたフェリーも導入を進めている。これは従来の重油を燃料にしたフェリーよりCO2の排出量が42%も少なく、大型トラックで同じ距離を運んだ場合よりもCO2排出量は85%も少なくできるのだとか。これまで鉄道や海上輸送は、積み替えの時間ロスなどもあって利用が限定的な面もあったが、ドライバー不足や残業時間の縮小などがあって、トラック輸送は限界を迎えつつある。
カーフェリーなんて、のんびりクルマ旅の手段だと思っている人は、ちょっと前時代的。これからの物流を支える、大きな大きな存在として今後も注目していきたい。