この記事をまとめると
■古いクロカン車のディーゼルエンジンは「NOx・PM法」に抵触する
■NOxやPMの排出量を基準以下に抑えることができれば登録することができる
■「NOx・PM法」対策には総額100万円前後の出費になる
大都市圏で古いディーゼル車に乗るのは大変だ
現行モデルにはない魅力をもつ旧型車。なかでもクロカンと呼ばれるモデルは無骨でクラシカルなスタイルが人気となっているが、古いクロカン車はディーゼルエンジンを搭載しているモデルも少なくない。
ディーゼルエンジンは低回転域で粘り強い特性があることでクロカン車にマッチしているだけでなく、軽油はガソリンよりも入手性が高く、価格も安いという点も魅力となっている。
ただ、古いディーゼルモデルを乗る上で問題となるのが「NOx・PM法」というもので、簡単にいうと古いディーゼル車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質が環境によろしくないため、特定の地域では登録できませんよ、というものだ。
この特定の地域は大都市圏が中心となっているので、そういった地域に住んでいるユーザーは、この法律に引っ掛かる車両に乗ることができないのである。
しかし、絶対に登録することができないというワケではなく、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出量を基準以下に抑えることができれば問題なく登録することができる。
一部の車種においては(主にトラックなどが中心だが)「国土交通省認定装置」というNOxとPMの排出量を抑える装置が販売されているため、それを装着して陸運支局に申請すれば登録することが可能だ。
また、残念ながら国土交通省認定装置が存在していない車種であっても、汎用の低減装置を装着したり、コンピュータのリセッティングをしたりして排出量を抑え、試験を受けて基準値を下まわっていることが証明されれば、晴れて対象地域でも登録することができるのだ。
ただ、この方法は装置の装着やコンピュータのリセッティングの費用はもちろんのこと、排出ガスの試験を行う費用も非常に高額となっており、総額で100万円前後の出費を覚悟しなければならない点が最大のネックとなるだろう。
なお、2021年にNOx・PM法の指定解除を検討するという報道があったが、現在のところは解除には至っておらず、2022年の時点で「5年後を目処に、制度の在り方について改めて検討する」とするに留まっているため、近々で古いディーゼル車に乗ることができるようになるというのは望み薄というのが現状のようだ。