ついでG 580 with EQテクノロジーに乗り換えだ。EQのネーミングが示すとおり、こちらは完全バッテリーEV仕様となっている。フロア下に116kWhという大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載。駆動モーターは108kW/291Nmの高出力モーターを、なんと前後に2個ずつ。つまり、4輪個別に駆動モーターを配する4モーター仕様となっており、システム出力として最高587馬力、1164Nmを発揮する。これはもうスーパーカーのパワースペック領域だ。一方で車両重量は3120kgに及ぶ。
オフロードを離れ、舗装の一般公道ではG 580 with EQテクノロジーとAMG G 63に試乗することができた。AMG G 63は4.4リッターホットインサイドのV8ガソリンターボエンジンを搭載する、これまで最強モデルだった。フロントサスペンションにスタビライザーを備え高速コーナリングもお手のもの。サーキットでも走れるほどの高いシャシー性能をGクラスに与えているのだ。
一般道ではV8サウンドに陶酔し、ガソリンエンジンのドライバビリティに改めてハートをくすぐられる。これまでは最強、最良のGクラスといえただろう。しかし、今回G 580 with EQテクノロジーの登場で、その地位は脅かされているといっても過言ではない。G 580 with EQテクノロジーは一般道の走行でも静かで、スムースで快適で、トルクフルで扱いやすい。加えてV8エンジンのサウンドを再現したG-ROARを搭載し、まるでV8エンジン車を操っているような感覚を楽しめる。
G 580 with EQテクノロジーの航続距離はWLTCモードで530km。AMG G 63は同6.8km/Lで100リットルの燃料タンクを使い果たせば計算上は680kmとなる。航続距離は実用上大きな問題とはならないレベルに来ているといえるだろう。
価格はG 580 with EQテクノロジーが2635万円、AMG G 63は3080万円だ。昨今、ハイパフォーマンススーパーカーの価格は高騰していて、フェラーリやランボルギーニなどは4000万〜5000万円以上する。そう考えると悪路も走れ、日常的な実用性も高く、安全性に優れながらスーパーカー並みの動力性能を持つ新型Gクラスの2000万〜3000万円は極めて妥当な価格であるといえる。Gクラスはリセール価値も絶大であり、決して高額すぎることはないと思うのだ。