BMWのレーザーヘッドライトの真価
そして、このLED方式の発展型としてレーザーヘッドライト方式が登場した。開発したのはBMW。半導体レーザーを用いる方式で、レーザーダイオード(LD)と表記される素材だ。ちなみに、半導体レーザーとは、レーザー発振の条件を満たしたLEDのことで、ほかのLEDと比べて発光の波長や振幅のバラつきが少なく、LEDが光の出力方向にある程度の幅をもつことに対し、LDの場合は直進性が強く、1点に集中して照射することができるという特徴を備えている。
その照射距離は、通常のLEDの場合は300m前後とされているが、レーザーダイオード方式の場合はその倍の600m先まで照射でき、LEDより30%ほどエネルギー効率に優れるとされている。より明るく、より省エネルギーでという、時代の要請に見事に応えるもので、区間によってまだ速度制限のないアウトバーンをもつ、いかにもドイツのメーカーらしい新たなヘッドライトの方式ということができるだろう。
ちなみに、日本のヘッドライトは、ロービームが40m、ハイビームが100mとその照射距離が法律で定められ、また、道路照明のない長い直線区間もそれほどなく、直接的にレーザーヘッドライトの恩恵を被るケースは少ないかもしれないが、より遠くまで明るく照射してくれるヘッドライトの存在は、ドライバーの立場からはやはりありがたいものだ。